広島が最大4点ビハインドからの逆転勝利で、後半戦初のカード勝ち越しを決めた。序盤から追いかける展開も、4回に2本塁打で2点差に迫り8回に逆転。緒方孝市監督(46)の打順入れ替え、代打策といった選手起用が見事に決まった。代打出場の2選手はチャンスメーク。打線入れ替えで1番に入った菊池涼介内野手(25)とスタメン復帰のヘスス・グスマン内野手(31)が2人で全5打点をたたき出した。

 慌ただしくベンチとグラウンドを行き来した。劣勢から追い上げムードが高まった終盤8回。緒方監督の攻めの采配が報われた瞬間、三塁側ベンチは喜びを爆発させた。

 緒方監督 (決勝打の)グスマンがよく打ってくれた。ここのところ野間がいい働きをしてくれている。スタメンも含めていろんな場面で使っていきたい。

 2点ビハインドの8回。一気の代打攻勢が試合の流れを変えた。先頭の石原に代えて新人野間を送った。「何でもいいので出塁することだけを考えて入った」(野間)。ヤクルトのセットアッパー、オンドルセクの内角球を中前にはじき返した。

 さらに代打松山が初球を捉えて二、三塁。スタンドの空気は一変。4月7日以来の1番起用で4回に7号ソロを放っていた菊池は、右翼へ飛球を打ち上げた。定位置付近の飛球だったが、果敢にスタートを切った三塁走者の野間が捕手のブロックをこじあけ、1点差に。仕上げは3試合ぶりスタメン起用のグスマン。右中間へ逆転二塁打だ。

 2打点の1番菊池は言う。「これがカープの野球。一丸となってやれた」。緒方監督は試合前に「最初から何も考えずに思い切っていけ」と菊池の背中を押した。打順変更と代打策がズバリ決まり、最大4点差からの逆転勝利。試合後の指揮官は興奮冷めやらぬ表情で言葉にも熱を帯びていた。

 緒方監督 今はみんなが勝つために必死にやっている。調子や状態を見ながら使っていきたい。

 後半戦初のカード勝ち越しで、借金を4に戻した。5月以降3カ月連続となる7月の勝率5割以上が確定。追う立場に変わりはないが、チーム状態は決して悪くはない。一丸野球で、まだまだ混戦にしがみついていく。【前原淳】