山田を超えろ、その先に優勝の頂きが待っている。球宴後は3本塁打8打点と当たりまくる阪神ルーキー江越大賀外野手(22)はヤクルト山田哲人内野手(23)級の大成を期待された。当面は7番でのびのびスイングさせる方針で、首位攻防戦の戦力にどっしり。16盗塁で盗塁トップ山田を追う上本には積極的なスチール指令。山田の独壇場にはさせない。

 後半戦、甲子園で芽生えた江越への期待感はナゴヤドームでさらに膨らんだ。29日には7回の同点ソロと9回の勝ち越し二塁打。2本の長打で今季最多タイ貯金3を導いた。

 今日31日ヤクルト戦の先発は左腕成瀬。乗っているルーキーは「7番中堅」でスタメン出場する。名古屋から戻り、灼熱(しゃくねつ)の甲子園での打撃練習でも柵越えを連発する。好調さをアピールするルーキーに、和田豊監督(52)は首位対決でぶつかる相手のスター、山田級になることを望んだ。

 21日に4度目の1軍昇格(開幕1軍を含む)を果たすと、7試合で24打数9安打の打率3割7分5厘、3本塁打、8打点の暴れっぷり。今季、江越が本塁打を放った試合は4月28日ヤクルト戦を含めて4戦全勝。さらに打点を挙げた試合も全勝だ。江越が打てば勝つ。今はそんなムードすら漂う。

 31日はそのヤクルト戦でプロ初本塁打を放った成瀬が相手先発だ。首位争いを演じる相手との直接対決を盛り上げるのに、格好の要素となった。

 「(成瀬には)打てたからというか、いいイメージがありますね。今はボールが見えています。以前から言っていますが、1球で仕留められるように、甘い球が来たら逃さないように強く打ちたいです」

 低めを振らされないように高めに“目付け”をするようになり、ボールが見えるようになった江越。一気に注目度は高まるが「そんなことないでしょ」と、プレッシャーはまるで感じていない様子だ。

 そんな江越を見守る和田監督も、ハードルの高い注文を出した。対戦相手ヤクルトの主力選手・山田を引き合いに出し、ゲキを飛ばしたのだ。

 「山田みたいな感じで、いろんな部門にたけて、数字的に素晴らしいものを持っている。ストライクゾーンを打ち損じない気迫が打席で出ている。いいところを見習ってほしい」

 まずは重圧のかからない7番で起用。しかし、そこで結果が続けば上位打線進出もあり得る。なにより混戦を抜け出すにはラッキーボーイが必要。そんな存在に江越は一番、近い。【編集委員・高原寿夫】