西武の球団史に過去最悪の13連敗が刻まれた。エース岸孝之投手(30)を立てて連敗ストップに挑んだが、初回は失策が絡み、5回も自ら悪送球を重ねて5回4失点(自責点1)。7回に18イニングぶりの適時打が生まれ、4点差を一気に追いついたが、8回にルーキー外崎修汰内野手(22)がこの日2個目となる失策を犯し、セットアッパー増田達至投手(27)が決勝適時打を浴びた。今季5戦全勝、昨年から7連勝中のコボスタ宮城でも勝てず、5位楽天と1ゲーム差。獅子が谷底に転げ落ちている。

 ロッカー室は道具を片付ける音に包まれた。36年前の球団ワースト記録を塗り替える13連敗。強き獅子の姿はない。屈辱の連敗が始まった7月15日の楽天戦は9回に4点リードを追いつかれ、逆転負け。同じ相手に逆に4点ビハインドを追いつき、演者を代えての再演を図ったが未遂に終わった。田辺徳雄監督(49)は「何とか同点に追いつき、まくりたかった」と悔しがった。

 グラブから白球も白星も、こぼれ落ちた。初回、先頭の遊ゴロを外崎が捕れない。8回にもペーニャの高いハーフバウンドのゴロをはじいて二塁まで進塁させた。いずれも失点につながる失策。打撃面では1安打2四死球と9番で上位に注ぐ潤滑油になった。経験の浅いルーキーを過度には責められない。田辺監督も「みんな一生懸命やっている。攻撃ではいい働きをしている。次に生かしてほしい」と糧にすることを願った。

 8年前に10連敗を完封で断ち「自分が止めます」と決意を固めた岸も自分を責めた。初回の外崎のミスを「(野手に)いつも助けてもらっている。ミスの後をしっかり抑えないと。相手(則本)を考えたら初回の2点はよくない」とカバーできず。5回には無死一塁からのバント処理で二塁へ「話にならない」悪送球で危機を広げた。5回4失点で自責点1だったが「外崎は気にせず思い切りやってほしい」と気にかけた。

 光明は残した。7回1死一、二塁から秋山、脇谷、浅村の3連続安打で18イニングぶりの適時打も生まれた。12連敗中は打率1割7分4厘と不振だった浅村とともに強力打線が目覚めの兆しを見せた。指揮官は「チャンスは散々作っている。何とかみんなでつないでいきたい」と締めた。連敗中はこの日の3戦連続1点差負けを含み、3点差以内が10試合と惜敗が多く、紙一重の戦いを象徴している。13連敗という負の連鎖を断ち切り、勝利の連鎖を起こしたい。【広重竜太郎】

 ▼西武が7月15日楽天戦から13連敗。79年の球団ワースト12連敗を更新した。13連敗したチームは08年横浜(14連敗)以来で、パではプロ野球最多の18連敗を喫した98年ロッテ以来17年ぶり。