ヒットパレードがVを呼ぶ。阪神マット・マートン外野手(33)が、日本球界通算1000安打まであと6本と迫っている。6シーズンでの達成は史上最速年数の快挙だ。チームは最短28日にもマジック点灯の可能性があり、マートンも安打数のメモリアルウイークに突入。「優勝のために大事な試合が続く」と、バットで引っ張っていく。

 阪神にとって最短28日にもマジックが点灯する重要な1週間。マートンにとってもメモリアルウイークとなる可能性を秘めている。一流選手の勲章でもある1000安打まであと6本。今日25日からの広島3連戦での達成も不可能ではない。しかし、当人は記録が目前に迫っていてもいたって冷静だった。

 「自分としては(1000安打を)全く意識していない。一番大事なのはチームが勝つこと。勝利に貢献することに集中している。達成できればいいけど意識はしていないよ」

 日本球界6年目を過ごすヒットマン。ここまで日本で積み重ねた安打数は994にものぼる。阪神在籍中での1000安打達成となると球団史上19人目。外国人選手では球団初の快挙だ。

 さらに、マートンには勲章がつく。NPB6年目での到達となれば、あのイチロー(マーリンズ)をも上回る、プロ野球史上最速年数での偉業達成となる。試合数でも23日DeNA戦までで802試合に出場。残り16試合以内に1000安打に達すれば歴代5位、外国人選手としてもブーマー(オリックス)に次ぐ史上2位のペースだ。歴史的記録ラッシュの訪れにファンの期待も当然高まっている。それでも背番号9は、1000安打は手土産と言わんばかりにあらためてクールに言葉を並べた。

 「優勝していくためにはこの先大事な試合が続く。勝った、負けたではなく、自分の出来ることをする。そのことだけに集中したいね」

 リーグ戦は残り30試合。目指すは来日6年、いまだに経験出来ていないリーグ優勝の味だ。8月の月間打率3割8分2厘と絶好調の男が、8月最後の1週間「ラストサマー」に大暴れする。【梶本長之】

 ▼マートンが6年目に1000安打を達成すれば、日本人選手も含めプロ野球最速年数。所要試合数では、松井稼頭央818試合を超え、歴代5位となることが濃厚。なお1位はイチローの757試合。今季マートンは広島戦で、セ・リーグ球団別では最高の打率3割9分2厘(51打数20安打)と好調。猛打賞4度も今季カード別最多で、この3連戦での達成の可能性は十分だ。