虎にとって強敵であることに変わりはなかった。阪神が広島前田と今季初対決。8回まで投げた前田に対し、打線は4安打で無得点。鯉とは最も対戦を残すだけに、相手先発を攻略できるかがカギだが、広島ジョンソンに苦しんだ前夜に続き、不安が残る鯉先発陣の前での連日0行進…。今日28日は聖地で息を吹き返し、藤浪を援護してくれ!

 長期ロードの最終戦は0封負けだった。9回に広島中崎から見せ場はつくったが、あと1本が出なかった。前田に8回まで4安打に封じられた。前日のジョンソンと同様に残り試合、最も対戦するであろう投手にほぼ完璧に抑えられた。優勝ロードへ不安を残す内容と、結果だった。

 和田監督 マエケンは何本もヒットを打てる投手じゃないから。バント失敗も、エンドラン失敗もあったし。バットに当てる? 最低条件よ。2番でも7番でも、8番でも、エンドランはバットに当てる。

 ポイントは初回だった。好投手を打ち崩す定石通り先頭鳥谷がヒットで出た。だが、2番大和がバントの構えでストライクを見送った後、ヒットエンドランのサインでスライダーに空振りしてしまった。走っていた鳥谷も二塁でタッチアウト。一瞬で先制のチャンスは消えた。

 頼みの主砲も封じられた。4番ゴメスはスライダーにまったくタイミングが合わず、3打席目まで無安打。最終回に外野の前に落とすヒットが出たものの東京ドームでの巨人戦から3カードで29打数4安打の打率1割3分8厘、本塁打なし、打点なし、と完全にトンネルに入ってしまった。

 和田監督 そういっても最後にヒットは出たんでね。マエケンには全然合わないことはなかったけど。この時期、内容うんぬんよりH(ヒット)がつくことで変わることはある。いずれにしても中心が打たないと点もとれない。きょうはつなぐ段階もうまくいかなかった。接戦でそういうことができないと。もう1回、そういうことを反省して。

 試合前には指揮官が自らゴメスと話し込んで、アドバイスを送るなど首脳陣も主砲復調へ、あの手、この手を尽くしている。

 ゴメス 何もないよ。

 大和 何とかバットに当てないといけなかったです…。

 この日、ポイントとなってしまった2人はともに険しい表情で帰りのバスに乗り込んだ。ただ、後ろは向いていられない。試練のロードを12勝8敗で終えた。

 和田監督 きょう(27日)で長期ロードが終わるんでね。もう1回、明日(28日)から新たな気持ちでいきたいね。

 今日28日からは、26日ぶりに甲子園に戻ることができる。勝負はここから。指揮官の言葉が明日へと響いた。【鈴木忠平】

 ▼阪神が今季初対戦の広島前田から得点を奪えず白星を献上した。前田とは08年から通算29度目の対戦で8勝15敗となった。そのうち得点なしは10度目。

 ▼14年は1勝1敗。13年は1勝4敗で、6試合のうち1点ずつ取ったのが2試合で、4試合は無得点に終わっている。同年の対戦防御率は0・40だ。

 ▼11年は最初の対戦で勝ったものの、その後は4連敗を喫した。勝ち越したのは09年(3勝1敗)の1度きり。