中日が4連敗で、今季121試合目にして自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅した。先発中日小熊凌祐投手(25)が3回6安打5失点でKO。打線の奮起で5-5の同点まで追いついたが、9回に5番手田島慎二投手(25)が勝ち越し打を許した。最下位から脱出できない竜に、秋風が吹き始めた。

 空席の目立つナゴヤドームにため息が充満した。5-5の同点で迎えた9回。2死一、三塁からDeNAバルディリスの打球が三遊間にはずんだ。遊撃エルナンデスが差し出したグラブからボールがポロリ(記録は内野安打)。二塁封殺を焦ったのか、あまりにもあっけない形で決勝点が入った。9回最後の攻撃は、新人王候補の山崎康に上位打線が3者凡退。ひねられた。

 負ければ、お互いに自力でのCS進出が消滅する“裏天王山”だった。中日にとって正念場のゲームだったが、初回から歯車が狂った。今季初の中5日でマウンドに上がった先発小熊が、先頭乙坂の右前打から1死二、三塁とすると、筒香の左犠飛であっさりと先制点を献上。その後も3連続四球で3点目を与えるなど、パニック状態。3回にはロペスに2ランを浴び、3回5失点で降板した。

 4回からは祖父江、岡田、又吉、田島と6連戦初戦の火曜日に、中継ぎを大量投入せざるを得ない状況に陥った。ただでさえ痛い敗戦に加えて、大きすぎるダメージ…。小熊は「チームに迷惑をかけてしまいました…」と謝罪。谷繁兼任監督は「(先頭乙坂の)2ストライクからの1球。不用意な1球がすべて」と、簡単にストライクを取りにいった未熟さを課題に挙げた。

 1週間前の下克上ムードがうそのようだ。8月は14勝12敗と4月以来となる勝ち越しを決めた。特に15日からは11戦10勝とすさまじい勢いで白星を重ねた。ところが、8月28日巨人戦からまさかの4連敗。ついに自力でのCS進出が消滅した。自身を23日ぶりに出場選手登録して立て直しを図った谷繁兼任監督は「それに関しては勝てば戻る」と前を向いた。ファンが見たいのは竜の意地。このままシーズンを終えるわけにはいかない。【桝井聡】