巨人が「9月の陣」初戦を落とした。先発はアーロン・ポレダ投手(28)。舞台は石川県立野球場。両翼91・5メートルとコンパクトなフィールドなのに、ヤクルトは腹を据えて地上戦を挑んできた。1回先頭の比屋根。投げ終わりで三塁側に流れる特徴を、見透かしたかのようなピッチャー返し。ゴロで運ばれた中前打が合図だった。

 1死二塁、打者山田の3球目に、セーフの確信を持ったスタートで三盗を決められた。先制適時打の直後、畠山の2球目も、また完璧な二盗を決められた。「守りがいないような所に打球が飛んだり。(盗塁は)不意を突かれた面もあった。警戒していたが」。三塁ベンチからは「ボークでは」の鋭い声も飛んだ。ウイークポイントを追求されると「コントロールに苦しんでしまった」。

 4回先頭のライアン小川に四球。5回先頭の大引に四球。1死二塁でライアンにまた四球。自滅の5失点だった。降板時、時計の針は午後8時前。守備を長くし、1本が出ない原因も作った。投手への四球は「絶対にやってはいけない」。毎回許した先頭打者の出塁は「苦しくなってしまう」。分かっていた。でも「相手が上回った」。

 原監督はポレダに関する問いかけに同調しつつ「後の失点がよくない」と、先頭への四球が絡んだ4、5回を指摘した。来日時から抱えていた弱みを努力で補い、克服した。かと思いきや相手が研究を重ね、もっと上をいく。150キロオーバーは脅威。でもトータルでもうひと伸びなければ、大きな試合を任せることにためらいが生じてしまう。【宮下敬至】