安心してください、抑えますよ。阪神ランディ・メッセンジャー投手(34)が悪夢の8回を乗り切って今季9勝目を挙げた。前回ヤクルト戦は1点リードを守れず、まさかの逆転負け。この日も2点をもらった8回にピンチを招いたが、無失点に抑えた。5年連続2桁勝利にも王手をかけ、勝負の9月に気をはく。

 今度はリードを守りきった。ようやく2点の援護をもらった直後の8回、2死一、三塁の危機に中日3番森野と対峙(たいじ)。外角高め149キロ直球で二ゴロに封じた。スコアボードに8つの0を並べると、メッセンジャーは派手にガッツポーズ。興奮そのままにベンチにかえると、グータッチでナインの出迎えに応えた。

 「我慢して、我慢して投げるしかなかった。それしかないし、今日はそれができました」

 8回の攻撃は自らも加勢した。無死一塁で回ってきた打席は、きっちり犠打を決め二塁に走者を進めた。「得点圏に進められたし、鳥谷さんのタイムリーにつながって良かった」。直後の鳥谷の決勝二塁打を演出した。援護点はそのままに、8回を6安打9三振無失点で今季9勝目。5年連続の大台に王手をかけた。2球で逆転を許した前回登板8月29日ヤクルト戦の悪夢を吹き飛ばした。

 「前回よりボールも良かったし、力みがなくリラックスして狙ったところに投げられた」

 勝利のカギはリラックスだった。1球ごとに、オンとオフをマウンドで切り替えている。試合では使用しないツーシームの握りで必ず捕手とのサインのやりとりをするという。サインの確認が終わると、グラブの中でコロコロとボールを転がしセッティング。「握りを必ず変えることで、力を抜くことができるんだよ。例えばフォーシームのサインが出て、そのままの握りでいくとムダな力が入るからね」。投じる前から力んでいては、力強いボールを投げきることができない。一点集中。球数がかさんだ試合終盤まで助っ人右腕の直球は150キロを超えていく。

 8月は1勝4敗と苦しんだ。しかし、9月は1試合目で白星を挙げた。「自分にボールさえ渡してくれればしっかり仕事をする自信はありますので、残り試合、一生懸命頑張って、最高のタイガースファンのために頑張りたいと思います」。勝負はここから。メッセンジャーがVへと押し上げる。【宮崎えり子】

 ▼阪神メッセンジャーが今季9勝目を挙げて、球団11人目の5年連続2桁勝利に王手。10勝に到達すれば、井川慶の5年連続(02~06年)以来となる。最多は江夏豊の9年連続(67~75年)で、外国人投手ではバッキーの5年連続(64~68年)以来、2人目となる。