大谷でも鷹軍団の勢い止められず。日本ハム大谷翔平投手(21)が、ソフトバンク21回戦で、自己ワーストタイの7失点で5敗目を喫した。初回を3者連続三振でスタートしたが、本塁打2本を浴びるなど、10安打を許し6回0/3でマウンドを降りた。逆転Vをかけて臨んだ3連戦で逆に3連敗。ゲーム差は13・5に開き、首位ソフトバンクの背中がさらに遠のいた。

 本能で反応した。大谷が193センチの体を投げ出した。同点に追いついてもらった直後の6回無死一、二塁のピンチ。バントを試みたソフトバンク中村の小飛球に、ダイビングした。「どっちに次の1点が入るかが大事な場面だったので」。勝負の分水嶺(れい)。危険を承知で腕を伸ばした。だが、執念は実らなかった。ボールはこぼれ、三塁送球はセーフ。直後、今宮に決勝打を浴びた。

 最速は158キロ。序盤は直球主体で攻めたが、2回に松田に先制3ランを許した。7回にはフォークが高めに浮き、柳田にダメ押し2ランを浴びた。「自分がしっかりと投げるべきところに投げられていなかった。自分の力不足」。勝負どころで、制球が甘くなった。被安打10は自己ワースト。7失点も8月4日のソフトバンク戦などと並ぶ同ワーストタイ。李大浩の四球から連打を食う、あのときと同じパターンだった。

 95年、巨人桑田がダイビングキャッチを試みた際に、右肘に大けがを負った。高校時代からスター街道を歩んできた野球人生が大きく変わった出来事だった。試合後、大谷は「(体は)大丈夫です」。体に異変がなかったのは幸い。ベンチを思わず立ち上がった栗山監督も「気持ちがああいう形になる。こんなに悔しい思いをしたんだから、必ず翔平のためになる」。ワンプレーに全力を尽くす姿勢には、感じる部分もあった。

 この日は「プレミア12」の1次ロースターが発表され、スタンドには小久保監督の姿もあった。だが大谷は「シーズンが終わってないので、(意気込みは)特にないですね」とコメントを避けた。公式戦は残り18試合、ポストシーズンも控える。最後の最後まで、全力になるために、今はチームの戦いしか見えていない。【本間翼】

 ▼日本ハム大谷が自己ワーストタイの7失点。1試合7失点は今季8月4日ソフトバンク戦(6回1/3で降板)に続いて2度目。プロ通算でも、14年9月21日楽天戦(5回1/3で降板)と合わせて、最多失点となった。1試合の被安打数はこれまで9安打が最多(13年1試合、14年3試合、15年1試合)で、この日の10安打はワーストとなった。