ドラフト1位候補、仙台大のエース熊原健人(4年=柴田)が今季初登板し、勝利投手になった。先発して8回を完投し5安打1失点。背筋を痛めて開幕に間に合わなかったが、頼れるエースが戻ってきた。春秋連覇を狙うチームは、宮城教育大に8回コールドで先勝した。

 プロ8球団12人のスカウトが見守る前で、熊原の体つきが変わっていた。体重は春より「7キロ増えた」86キロ。上腕筋が太くなり、尻も大きくなった。最速149キロを計測した速球を中心に8回1失点。6回に許した1点は野手の失策が絡み自責0。「マウンドに戻れたことが一番。しっかり勝てたのが自分の中で大きい」と喜んだ。

 夏バテして7キロ減った昨年を反省した。今夏はタンパク質を多く摂取する食事改革に取り組み、ウエートトレーニングにも集中した。ただハードワークがたたり、開幕前に背筋を痛めた。ブルペンで投球練習を再開したのは約2週間前。まだ完調ではないが、初登板にしては上々の内容だった。森本吉謙監督(41)は「及第点です」と評価した。

 柴田高、仙台大の後輩、右腕岩佐政也(2年)のテンポのいいマウンドさばきを見習った。配球など打者の考える時間を少なくし「テンポを速くしたら、しっくりきた」と、新スタイルにも手応えをつかんだ。

 次節以降に東北学院大、東北福祉大との上位対決を控える。その前にリーグMVP2度のエースが戻ってきた。「遅れた分を取り返したい」。熊原の大学ラストシーズンが、ようやく幕を開けた。【久野朗】