来季の続投を要請されているDeNA中畑清監督(61)が、辞意を固めていることが1日、分かった。就任4年目の今季は、98年以来17年ぶりの前半戦首位ターンを決め、球宴中断中の7月中旬に南場智子オーナー(53)から来季の続投要請を受けていた。だが、後半戦に入ってからは黒星が先行。2試合を残す、この日の時点で最下位に沈んでいる。現場の長として失速の責任を重く受け止め、辞任の意向を固めた。今日2日にも南場オーナーと会談する予定で直接、意思を伝える。

 中畑監督が断腸の思いで決断を下した。前半戦の快進撃から一転、後半戦に入ってからは、29日の阪神戦終了時点で20勝36敗と苦しい戦いが続いている。順位も首位から最下位に急降下。現状の成績で来季も指揮を執り続けるという選択肢を拒んだ。「結果の世界で生きている。成績によっては責任をとる覚悟でやっている」。続投を要請された直後も即日回答を避け、目の前の試合の結果に執着して歩を進めてきた。

 信念は最後まで諦めない野球-。就任後は常々、口にし、チーム全体に植え付けてきた。12年から球界参入を果たしたDeNAの初代監督として、持ち前の強烈なキャラクターを発揮。今季、就任4年目で初めて勝ち越した本拠地では、球団新の42回の満員大入りを記録。観客が2万人を割ったのは、65試合でわずか5試合だけ。ファン獲得の原動力としての功績も大きい。一方で「勝負できるチームをつくりたい」と、今季を含め10年連続でBクラスに沈む苦境からの脱却が最大使命だった。

 勝負の年と位置づけた今季は「導」をチームスローガンに掲げた。「開幕ダッシュを決められればチャンスはある。ようやく『優勝』という言葉を口にできるチームになってきた」と手応えを感じた中でシーズンに挑んだ。人目をはばからず自らの意見をはっきり言う昔ながらの野球人を貫き、生え抜きの若手中心の「キヨシ軍団」を形成。だが、育成しながら勝つという理想には届かず、敗戦の責任を背負う格好で辞意を固める決断に至った。

 今日2日にも南場オーナーとの会談の席に就く予定で自身の意向を伝える。異例の早期段階での続投を要請した球団サイドは慰留に務める構えだが、熟考を重ねた中畑監督の意志は固く、覆すのは困難を極めるとみられる。南場オーナーは「腹決めしていますし、最終順位に関係なく来季の続投を要請させてもらっている」と公言しており、中畑監督への全幅の信頼は揺るがない。この日、横浜スタジアムを訪れた際も「(続投要請の意向は)何も変わらない。変える理由はない」と語気を強めて明言した。

 ◆中畑清(なかはた・きよし)1954年(昭29)1月6日、福島県生まれ。安積商(現帝京安積)から駒大を経て75年ドラフト3位で巨人入団。3年目から三塁手として1軍定着。「絶好調」を決めゼリフに人気を集めた。81年に一塁手転向。81~88年に4番で219試合出場。82~88年ゴールデングラブ賞。球宴出場6度。労組日本プロ野球選手会初代会長。通算1248試合、打率2割9分、171本塁打、621打点。89年引退。93、94年巨人1軍打撃コーチ。04年アテネ五輪(銅メダル)では長嶋監督急病のため日本代表監督を代行した。12年からDeNA初代監督。185センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億円。

 ◆急降下メモ 5月16日時点のDeNAは貯金が今季最多の11あり2位巨人に3ゲーム差の首位。6月に12連敗で首位を明け渡すも、前半戦最後の7月15日に巨人を下し42勝42敗1分けの首位で前半戦を終了。後半戦はいきなり4連敗で始まり、球宴後の10試合が2勝8敗で5位へダウン。8月26日には借金が12まで増え、ついに最下位。前半戦首位チームが後半戦に入って最下位転落はプロ野球史上初めてだった。前半戦首位チームの最終順位は60年中日と12年ロッテの5位が最低で、このままなら「前半戦首位から最下位」「2桁貯金から最下位」と、史上初となる2つの不名誉記録を作ってしまう。