オリックス谷佳知外野手(42)が最終打席を勝利を呼ぶヒットで飾り、19年間の現役生活に別れを告げた。引退試合となった今季最終戦のソフトバンク戦。1-0で迎えた7回1死一塁の場面に代打で登場し、武田の初球142キロ真っすぐを右前にはじき返した。見守った亮子夫人(40=参議院議員)と長男佳亮君(9)次男晃明君(5)の前で、最高の勇姿を見せた。

 谷 勝つことが必要でしたし、とにかく前に飛ばしたかった。(一塁佐竹コーチが先に泣いて)おかげで泣けなかったですが。

 3回以降追加点がなかったが、流れを変える1928回目のHランプをともした。その後糸井の左前打で二塁から激走。815得点目でリードを3点に広げ“谷効果”で勝利を決定づけた。8回に、打者1人限定で慣れ親しんだ右翼守備に就くと大歓声。試合後のセレモニーでは息子たちから花束を贈られ、感極まった。

 谷 あまり球場で見る機会もなかったし、最後に少しパパらしいところを見せられたかな。(夫人には)大阪、東京で離れ離れだったけど、今まで支えてくれてすごく感謝しています。

 満身創痍(そうい)で19年間休まず走り続けてきた。球団からのコーチ就任要請には感謝しつつ、一息置くため辞退する見通し。来季は解説者として第2の野球人生をスタートさせるとみられる。

 谷 ここで育ててもらったし(いつか)後輩に教えられたら。強いチームにできるよう勉強したい。本当にいい仲間を持ちました。

 最後はナインから背番号と同じ10回胴上げされた。いずれオリックスに恩返しする。涙を浮かべ、男の誓いを立てた。【松井清員】