我慢の1勝で、ロッテがCS進出に王手をかけた。主力にケガ人が続出する厳しい状況で、打線は好機に凡退が続いた。それでも、3投手が0でつなぎ、楽天に完封勝ち。再び貯金を1とし、3位を守った。シーズン残り3試合で1勝すれば、2年ぶりのAクラスが確定する。

 お立ち台には、3投手全員が呼ばれた。先発の大嶺祐、2番手で3勝目の大谷、9回を3人で締めて5セーブ目の内。みんな、仲間への思いを口にした。援護がなくても7回まで0を重ねた大嶺祐が「守りに助けられた。いつか点を取ってくれると信じていた」と言えば、大谷は「(大嶺)祐太がああいう投球。0でつながなきゃと」と受けた。内は「穴を埋める気持ちだけ」と、本来の守護神・西野を思いやった。

 CSへ“マジック2”として千葉に戻ったが、前日は序盤でリードを許し敗戦。この日も、伊東勤監督(53)が「何か知らんけどガチガチ。勝手に意識して、普段の野球ができていない」と嘆きたくなる展開だった。1回無死一、二塁。3回1死二、三塁。4回2死満塁…。ことごとく好機で倒れた。8回の勝ち越しは、押し出し四球と敵失で、適時打は0だった。

 おまけに、ケガ人が続出。登録抹消中の角中、西野。ベンチ外で休養が続くクルーズ。さらに、前日に右肩関節を捻挫した清田と左すね自打球の井口はスタメンを外れた。手駒が限られただけに、投手陣の奮闘が光った。

 お立ち台の3人が挙げたような結束のたまものかも知れない。象徴的な出来事があった。9月28日の西武戦に西野が駆け付けた。5日前の試合で打球を受け、左足を骨折。今季絶望となった守護神は、松葉づえをついて激励に訪れた。CS進出を争うライバルから大きな白星を奪った日だった。キャプテンの鈴木が言う。「あいつは悔しかったと思う。それなのに来てくれた。みんな、感じるものがあったはずです」。

 西野の代役を務める内。自分が最後を締めてCSを決めたいか聞かれ、即座に否定した。「そんな気持ち、ないです。野手がいっぱい点を取って、投手は抑える。あと1つ勝つ。それだけです」。チーム力が最大の武器。2年ぶりのCSは、目の前だ。【古川真弥】