東北福祉大の長坂拳弥捕手(3年=高崎健康福祉大高崎)が、仙台大のドラフト1位候補、右腕熊原健人(4年=柴田)を攻略してVに導く。今日10日から、仙台6大学野球秋季リーグ最終節が行われる。東北福祉大は勝ち点4で首位に並ぶ仙台大と優勝をかけて対戦。今春、最高打率賞(首位打者)を獲得した長坂は、前節の東北学院大2回戦から4番に起用され、本塁打を放つなど結果を残した。好球必打で「熊原撃ち」を狙う。

 長坂が熊原撃ちへ思いを込めた。「真っすぐをいかに打てるか。甘い球は逃さない」。最速152キロを誇る熊原を攻略しない限り、東北福祉大の2季ぶり66度目の優勝は見えてこない。新4番は夏から速球を打ち返すトレーニングを積んできた。全体練習終了後の個人練習でも、マシン相手に1日200球打ち込んだ。自信がある。

 打順は捕手で守備の負担を考慮されて主に6番だったが、4日の東北学院大2回戦でリーグ戦初めて4番に抜てきされた。2点二塁打を放ち、翌5日の3回戦では左越えにソロ本塁打を放った。開幕から打順で試行錯誤してきた大塚光二監督(48)は「ようやく固まってきたのかな」と話し、長坂を「送りバントもヒットエンドランもしてくれますよ」と評価。仙台大との決戦でも「4番でいきますよ」と主砲に指名した。

 冬場にチームスタッフのアドバイスもありフォームを改造。右打ちの長坂は左足を軽く上げていたのを、より高く上げることで軸となる右足に体重が乗った。バットのグリップエンドの位置もあご付近まで下げることで「脱力して打てる」と、はまった。今春は3割8分7厘で最高打率賞を獲得した。今秋は公式戦初を含む2本塁打。前節まで打率3割3分3厘と好調だ。

 今春は仙台大との1、3回戦で熊原に完封された。スコアはともに0-1とホームが遠かった。長坂はその2試合で1安打だけ。「チャンスで打ちたい」と言った。優勝と2位では、明治神宮大会東北地区代表決定戦(24日~、福島)を制覇するまでの試合数が違う。今日10日から負けられない戦いが始まる。【久野朗】

 ◆長坂拳弥(ながさか・けんや)1994年(平6)4月28日、群馬県富岡市生まれ。丹生(にゅう)小3年の時、丹生ボーイズで野球を始め捕手一筋。富岡西中では軟式野球部。高崎健康福祉大高崎では1年秋からベンチ入り。2年春からレギュラー。甲子園は2年夏と4強入りした3年春に出場。高校通算本塁打10本。東北福祉大では1年春からベンチ入り。2年春に公式戦初出場。173センチ、77キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。

 ◆明治神宮大会東北地区代表決定戦 北東北大学、仙台6大学、南東北大学の3連盟の秋季リーグ戦の上位、計7チームが1枠の出場権をトーナメントで争う。仙台6大学優勝チームは準決勝が初戦で、南東北1位と対戦。2位になると1回戦で南東北2位と顔を合わせる。準決勝から登場する3連盟の各1位は優勝まで2試合なのに対して、2、3位チームは3日間で4試合を戦わなければならない。今年は24~26日に福島・郡山市の開成山球場で行われる。