日本ハムのルーキー有原航平投手(23)が、初舞台で大きな白星を手にした。1点ビハインドの7回に3番手でプロ入り初の中継ぎで登板。「絶対にゼロに抑えてやると思っていた」。1球目。右腕をしならせ、外角への直球148キロはストライク。CSデビューの幕を、鮮烈に開けた。

 持ち味を23球に詰め込んだ。内外角へ、丹念に投げ分けた。未体験のマウンドで内に秘める闘志を燃やし続けた。「いつも以上に力が入りましたし、力みもあった」。最速152キロの直球を軸に、強気に攻めた。2回を投げ1安打無失点、2三振の快投。直後8回に味方が逆転し、球団では06年八木以来2人目のCSルーキー初登板初勝利が、転がり込んだ。

 不安に包まれ、船出したプロ1年目だった。昨年12月末にノースローを解禁し、右肘の違和感から1歩踏み出した時。プロで戦う姿は、まだぼんやりしていた。甲子園、東京6大学の聖地・神宮では「何も残していない」。いずれも故障の影響で本来の力が発揮出来なかったが、負ければ終戦の大一番で進化を遂げた。栗山監督は「本質が見えた。アイツの勇気とか」とたたえた。確かに胸を打つ姿を残した。

 お立ち台では声を張り上げ、初々しく歓喜の声を響かせた。「明日も勝つので、よろしくお願いします」。今日12日もブルペン待機する予定。ルーキーが崖っぷちからファイナルステージへ望みをつないだ。【田中彩友美】

 ▼日本ハムのルーキー有原が7回から登板して勝利投手。プレーオフ、CSで新人の勝利投手は13年菅野(巨人)以来7人目(9度目)。日本ハムの投手では06年の八木以来2人目。