阪神から来季の監督要請を受けていたOBの金本知憲氏(47=野球評論家)が今週中に最終決断することが12日、分かった。CS敗退で全試合が終了したこの日、球団側と極秘会談した模様。新体制への移行を急ぐ球団に対し、返答期限を決めた。また、1日に要請を受けた後は慎重な姿勢を貫いていたが、関係者への取材で受諾に傾いていることが判明。今月20日をメドに新監督誕生へ向かう見通しとなった。

 阪神から監督要請を受けている金本氏が返答期限を決めた。今週中に結論を出す。本人も南球団社長も沈黙を貫いたが、チームがCS敗退で全試合を終了したこの日、球団側と極秘会談した模様。ただ来季体制づくりが急がれる中、今週中に球団へ意向を伝えることを決めた。また、1日に要請されて以来、諾否を含めて慎重だったが、受諾に傾いていることが関係者への取材で判明した。20日までに新監督誕生へと向かう。

 阪神は今季、10年ぶりリーグ優勝を目指し、混戦のセ・リーグで終盤まで優勝争いをしながら脱落した。4年目の和田豊監督(53)は退任が決まり、球団は新監督擁立に着手。9月30日、抜本的な改革を推し進める担い手として後任を金本氏に一本化し、1日に監督就任を要請。8日にも2度目の交渉を行ったが、返答には至らなかった。

 金本氏は近い関係者に「指導者経験のない自分が重責を果たせるのか」ともらすなど、人気球団の再建という大仕事を前に慎重な姿勢だった。将来的な指導者への思いを抱く一方で、人気球団を取り巻くマスコミやOBとの関係、周囲に協力を得られるのかという面で不安もあったという。交渉の過程では近い関係者に「本当に五分と五分。結論を決めずに考えたい」と話し、フラットな心境で要請に向き合ったようだ。

 初回の交渉では否定的だった姿勢が8日の第2回交渉で球団が全面バックアップを約束するなど誠意で説得することにより、五分五分の心境へと徐々に傾き、ここにきて難題に挑む覚悟が固まりつつあるようだ。

 投打ともに主力は外国人とベテランに頼り、若手の台頭が進まないチーム状況がある。新監督は「勝ちながら育てる」という課題を背負う激務。球団も配慮し3年を基本線に、5年も視野に入れた長期契約を準備しているという。

 球団は今日13日に和田監督の退任会見を行い、現コーチ陣の処遇など新体制への移行を急ピッチで進める方針。関係者によれば、現首脳陣には20日までに去就を伝える旨を通達したという。金本氏の最終決断も今週中に下されることが確実となった。

 広島からFA移籍した03年に18年ぶりのリーグ優勝をけん引。前回優勝の05年には4番として活躍し、リーグMVPを獲得した。「アニキ」と慕われ、「鉄人」として連続フルイニング出場の世界記録も打ち立てた。実績抜群で、現役選手とのつながりもあるカリスマ的存在の金本氏が、監督として再びタテジマに袖を通す日は近づいてきた。