今季限りでの退団が決定的な阪神マット・マートン外野手(34)が13日、関西国際空港から米国に帰国した。複雑な心境、チームへの愛、感謝、今後について16分間、語り続けた。

 「この1年はこれが最後かもしれないと思ってプレーをしてきた。監督も代わるし、引退する選手もいる。チームが変革の時期だと感じている」

 グラウンドでプレーしながらも、退団を意識する日々だったことを明かした。来日6年目の今季は140試合に出場し、打率2割7分6厘、9本塁打、59打点。審判のストライク判定に不満の色をあらわにするシーンが何度かあった。1年目の10年に214安打し当時シーズン最多記録を樹立したヒットメーカーも「浮き沈みのあるシーズン」と認めたが「巨人とのCSでは個人的に力を発揮できたと思う」と最後に意地を見せた。

 今後について問われると「自分もどうなるか分からない。もしお話をいただけたら、耳を傾けて考えたいと思う」と話した。阪神で6年間を過ごし日本の生活も慣れた。「第2のふるさと」と愛着のある土地にもなった。日本球界通算1020安打の実績も光る。「違うチームでプレーすることになれば、自分としては大きな動きになる。ただこの6年間、タイガースでやるべきことはやったと思っている」と他球団でのプレーも示唆した。

 「阪神で6年間、同じユニホームを着られたことは誇り。球団の方、チームメート、多くのファンと出会えた。感謝をしています」。ファンや関係者と握手を交わすなどM砲は最後まで笑顔だった。【宮崎えり子】