不本意な日本シリーズ初登板になってしまった。ヤクルト館山昌平投手(34)は、四球を連発した。1回に2つの四球。3回にも2つ。そうして招いたピンチで李大浩を抑えられなかった。3回、5失点。最初の打席に立つこともなく、わずか69球でKOされた。「フォアボールが多すぎました」。修正できないままマウンドを降りた。

 7度の手術の果てに、ようやくたどりついた日本シリーズのマウンドだった。6月に右肘手術から復帰した時には「投げるために戻って来たのではない。勝つために戻ったんです」と言った。歓喜を味わってこそ意味がある。この日は「日本シリーズだからといって特別な感情はなかった」と、平常心でマウンドに上がったことを強調したが、知らずに気負っていたのかもしれない。

 第1戦からソフトバンク打線を観察した。「意見が偏らないように」と、チーム内のいろんな人から話を聞き対策を練った。しかし、打者と勝負する前に、自分の投球ができなかった。試合開始前の投球練習からボールは荒れた。納得のいくマウンドにはならなかった。

 第4戦の先発を任されたのは、登板間隔を空けないと、まだ肘への負担の面で不安があるからだ。事実上、この一戦の先発だけに絞って調整してきた。それだけに悔しさも募る。「フォアボールの後、粘れなかったのがすべて」と繰り返した。ここからは、味方の逆襲を信じて、背中を押す。【竹内智信】

 ▼ヤクルトは第1戦から先発投手が石川4回、小川4回2/3、杉浦4回1/3、館山3回とすべて5回未満で降板。日本シリーズで第1戦から先発が4試合以上続けて5回未満で降板したのは56年西鉄(1~5戦)82年中日(1~6戦)に次ぎ33年ぶり3度目。