今季まで巨人でプレーした野間口貴彦投手(32)が、現役を引退することが30日、分かった。今月4日に球団から来季の選手契約を結ばない旨を伝えられ、今後について慎重に検討してきた。チームに対する感謝の気持ちが非常に強く、引退の決断をした。「11年間お世話になったジャイアンツをはじめ、ファンの方々、携わったすべての方に感謝したいです」と語った。今後は未定。

 04年ドラフト自由枠で巨人に入団。資質が花開いたのは、中日、阪神と激しい優勝争いを展開していた07年の秋だった。9月に1軍昇格すると、先発、リリーフでフル回転。中旬以降の17日間で4勝を荒稼ぎし、リーグ優勝に貢献した。10年9月20日のイースタン・リーグ楽天戦では、リーグ記録の10者連続奪三振をマーク。シーズン終盤の要所で大きな働きをした。

 13年、右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術を行った。育成選手となりリハビリに励み、今季開幕前に支配下登録を勝ち取った。1軍の舞台に戻る目標はかなわなかったが、早朝から黙々とトレーニングに励む姿は若手の模範だった。強い直球で輝きを放った本格派がユニホームを脱ぐ。

 ◆野間口貴彦(のまぐち・たかひこ)1983年(昭58)5月31日、兵庫・尼崎市生まれ。関西創価(大阪)では3年春に甲子園4強。創価大を1年の9月に中退し、シダックス入り。04年ドラフト自由枠で巨人入団。05年5月1日広島戦で5回コールドながら初登板初完投勝利。13年9月に右肘を手術し、同年11月から今年3月まで育成契約だった。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1200万円。