日本ハム斎藤佑樹投手(27)が30日、栗山英樹監督(54)に来季の先発起用を志願した。沖縄・国頭での秋季キャンプ3日目、全体練習後に指揮官と青空面談を実施。中継ぎへ一時的な配置転換も経験した今季を振り返りつつ、6年目へ向けて揺るぎない本音を直接伝えた。熱い思いを受け取った栗山監督も、来季の先発候補として期待した。

 斎藤が笑顔でダッシュしながら栗山監督を呼び止めた。午後0時42分。2人がサブグラウンドの芝生に腰を下ろし、ひざを突き合わせた。互いに身ぶり手ぶりを交えながら、本音をぶつけ合った約10分間。佑ちゃんはスッキリした表情で、会話の内容を少しだけ明かした。「今年は僕の中で中継ぎを経験できたことが良かった。それを踏まえて、先発をやりたいというニュアンスは伝えました」。先発投手として勝負したい思いを、ぶつけた。

 紆余(うよ)曲折を経てスターターへのこだわりは強くなった。今季は開幕ローテ入りを果たしたが、不調から5月に中継ぎへ配置転換。調子を取り戻すと、先発へ再転向した7月以降は1軍でもコンスタントに試合をつくった。手応えと同時に、アマチュア時代から誇りを持って務めてきた先発への思いは高まった。「野球をやっている以上、自分の気持ちを大事にしたい」。まずは勝負したい場所を明確に定め、指揮官へ“直球”を投げ込んだ。

 栗山監督も熱い思いを真正面から受け取った。「基本的には」と、来季の先発候補として考えていると明言。「自分の抑えていく道みたいなものが、はっきり見えだしている」と、斎藤の現状を捉える。進むべき方向性を見いだし始めているだけに「本当の勝負が始まるからね」と、熱い言葉で背中を押した。

 斎藤の気持ちも高まる。「数字だけ見たら1勝しかしていない。防御率も高くなった」。昨季の2勝から今季は1勝。防御率は4・85から5・74となり、「そこが求められているのは分かっている」。秋季キャンプでは試合中盤を乗り越えられる肉体を目指して、筋力増量を目指している。勝負の6年目へ、栗山監督への決意表明に強い覚悟がにじんだ。【木下大輔】