「金本特別道場」じゃ!! 阪神金本知憲新監督(47)が今日1日から始まる高知・安芸秋季キャンプに備えて、10月31日に高知入りした。キャンプでは夜間練習を検討するなか、指揮官が思い描くのは、指名でのマンツーマン指導。「俺が引っ張り出すかも分からん」と予告し、徹底した素振りで打撃の基礎を固める狙いだ。17日間の集中練習でチーム改革を推し進める。

 変革への第1歩にふさわしい、土佐からのスタートだ。大阪からの空路で、すっかり暗くなった高知・芸西村のチーム宿舎に金本監督が入った。なじみのスタッフと笑顔をかわす。「懐かしい場所やね。2011年の春以来…」。無数の汗を流した現役時代以来、阪神の伝統を築いた地に新監督として足を踏み入れた。

 眼光が鋭くなったのは夜間練習の話題に入ったときだ。「打撃コーチが決めることだけどね。ピックアップしてやるのか、全員まとめてやるのか…」。基本的には片岡新打撃コーチらの指導に委ねるが、さらに言葉をつないで予告した。

 「もしかしたら、俺が引っ張り出すかもしれん。いま、ちょうどいい感じできているなと。陽川も、ちょっと(バットの)トップを深くしたら、かなり打球の強さが出てきている。徹底して『鉄は熱いうちに打て』じゃないけどね」

 10月30日まで、甲子園での秋季練習で連日、熱血指導を行った。まだ1軍で活躍できていない若虎に熱いまなざしを注ぐ。陽川だけではない。北條、中谷や原口もいる。伸びていくためのヒントを授ける。せっかくつかみかけているものを離さない。全身で覚え込ませるためにも、指揮官直々に名指しして夜間道場を開くプランだ。打撃の根本は素振りだとする。徹底的に振り込ませ、勝負できる打撃の「型」を教える。

 新監督として迎える初めてのキャンプは野手だけでなく、投手も精力的にチェックする意気込みだ。「投手ももちろん見にいくよ」と話す。今回選んだキャンプメンバーと腰を据えて猛特訓に取り組む。「この秋の入れ替えはないんじゃない」と説明する。逃げ道は一切ない。期待株の力量を見極め、鍛え上げる。秋季練習終盤は午前と午後にわたって異例の2部練習を敢行した。体力、そして気力…。金本タイガースが逆襲に向けて、さらにエネルギッシュになる。【酒井俊作】