阪神金本知憲新監督(47)の「初テスト」は元メジャー右腕だ。今秋の安芸キャンプで、今季、ロッテでプレーしていた白嗟承(ベク・チャスン)投手(35)の入団テストを行うことが5日、分かった。長身191センチの韓国系米国人で、メジャー16勝の実績を持つ。指揮官が現場復帰する最終クールの12日から数日間、実施する方向で、将自ら、初めて入団テストで合否をジャッジする。

 安芸キャンプを留守中の金本監督が12日に現場復帰すれば、大切な任務が待っている。元メジャー投手でオリックスにも在籍した白嗟承の入団テストを行うことが判明した。今季はルートインBCリーグ武蔵から、7月末にロッテ入り。すでに戦力外通告されており、191センチ、100キロの大型右腕の力量を見極めることになった。

 今季、先発陣は5、6番手が台頭せず、苦しいやりくりを強いられた。150キロ近い速球を投げ下ろす白嗟承は先発として経験豊富。今年プレーしたロッテでは1軍で投げず、2軍登板4試合にとどまったが球歴は折り紙つきだ。釜山高時代の98年に韓国高校代表のエースとして君臨。その後、米球界に渡って04年にマリナーズでメジャー初勝利を挙げていた。08年にはパドレスの先発ローテーションに食い込み、111イニングを投げて6勝。メジャー通算16勝を挙げた。

 過去に右肘を手術した経緯もあるが、すでに復調しており、速球の球威も戻っている。カーブ、スライダーやツーシームなどを操る先発タイプ。球を低めに集める制球にも定評があり、12年にはオリックスが獲得していた。安芸キャンプ最終クールの12日からチームに合流する見通しで、数日間のテストになりそう。5日から安芸を留守にしている金本監督も現地で指導を再開する予定で、就任後、初めての「入団テスト」実施になる。指揮官の要望にかなうのか。新戦力になり得るのか、自ら、合否を下すことになりそうだ。

 金本監督は10月中旬の就任後、急ピッチでコーチ陣編成に取り組んできたが、大枠が固まったことで、今後は来季の戦力補強に全力を注いでいく。6年間プレーしたマートンが戦力構想から外れており、新外国人野手として、すでにマット・ハグ内野手(30=ブルージェイズ)の獲得に乗り出している。また、2日にはオファー済みの前高知・藤川球児投手(35)と対面して球団は古巣復帰の好感触を得ている。白は近年、第一線で登板しておらず、まずは慎重に現状をチェックした上で判断されそうだ。

 金本新監督は就任時、補強戦略について「できれば補強なしで、いまの選手で勝っていくのが理想ですけど、やはり、そうは言っても結果を求められる。じっくり時間をかけて考えていきたい」と話していた。現有戦力とのバランスを考えれば狭き門だろう。米球界で結果を残した右腕の行方に注目が集まる。

 ◆白嗟承(ベク・チャスン)1980年5月29日、韓国・釜山生まれ。釜山を経て98年にマリナーズと契約。04年にメジャー初昇格し、08年シーズン中にパドレスへトレード。12年にオリックス在籍。今季キャンプ中に日本ハムの入団テスト受験も不合格。4月にBCリーグ武蔵入団。7月30日にロッテと契約した。イースタン・リーグでは4試合に登板し1勝0敗、防御率3・95。191センチ、100キロ。右投げ右打ち。

 ◆虎の外国人選手事情 投手では、今季も先発の軸だったメッセンジャーの来季残留が決定的。2年連続セーブ王の呉昇桓は今季で契約が切れ、去就は流動的だ。今季1勝にとどまったサンティアゴの退団は決定的。一方、野手では6年間在籍したマートンは今季限りでの退団が決定的。ゴメスと今季途中加入のぺレスはともに残留することが決定的となっている。