4年ぶり25度目出場の東北福祉大(東北3連盟)が、完封負けした。先発した立命大(関西5連盟第2代表)の巨人ドラフト1位右腕、桜井俊貴(4年=北須磨)の前に打線が3安打と沈黙。3回無死二塁、5回無死一、三塁の好機を生かせなかった。大会タイ記録の18三振を喫し、06年以来9年ぶりに初戦敗退した。

 東北福祉大が、プロレベルの投球を味わった。バットを振ってもファウルで、ほとんどの打者が簡単に2ストライクと追い込まれる。そこからチェンジアップとスプリットを中心に投げ込まれた。4打席3三振の3番楠本泰史(2年=花咲徳栄)が脱帽した。「変化球のいい投手とは対戦したことがあったけど、コントロールの精度が良くて、ベルトの高さから落ちた。何もできなかった」。

 桜井に大会記録に並ぶ18三振を奪われた。空振りは17を数えた。全国大会初采配の大塚光二監督(48)は「三振18個? そんなにやられたんだ」と驚いた。5回無死一、三塁の絶好機は、7番打者から3者連続でバットが空を切った。2三振の4番井沢凌一朗(3年=龍谷大平安)は「低めのボール球を振らないように徹底しようとしたけど、それができなくてこういう形になった」と反省した。

 スタメン6人が3年生以下。投手を含め、新チームを支えていく好素材の選手が多い。大塚監督は「何とか来春にリベンジしたい」と言えば、楠本は「この経験を生かして、(桜井の)ボールを見られなかった人にどう伝えるか、借りを返しに来たい」と前を向いた。

 13年春の全日本大学選手権以来、5季ぶりの全国舞台は1点が遠かった。だが得たものもあった。大塚監督は「いい投手を攻略するのには三振しちゃいけない」。屈辱を貴重な敗戦にして、東北福祉大が新たなスタートを切る。【久野朗】