阪神が来季新外国人として交渉に乗り出していたマット・ハグ外野手(30=ブルージェイズ)の獲得が決定的となっていることが15日、分かった。球団首脳によれば双方の意思は合致しており、あとは最終的な詰めの交渉を残すのみだという。課題だった三塁手の有力候補が、就任初年度から優勝を目指す金本阪神の強力な援軍となる。

 金本阪神の補強戦略がまた1歩、大きな前進を見せた。球団首脳によれば、獲得に乗り出していたハグの獲得が決定的な状況となった。10月末に本格的な交渉を開始してから、日本、さらには伝統球団であるタイガースでプレーすることなども含めて相手側との意思が合致。条件面でも大筋では合意に達しており、あとは最終的な詰めの交渉を残すのみだという。

 チームは今季、三塁手のレギュラーが固定できないという課題を抱えていた。西岡が故障離脱後は今成、新井を中心に戦ったが、来季へ向けての最大の補強ポイントとなっていた。そこで三塁も守れて、なおかつ浜風の吹く甲子園で有利な右の強打者という補強方針で新助っ人をリストアップ。その中で白羽の矢が立ったのがハグだった。

 ハグは川崎宗則とチームメートで、今季はメジャー10試合に出場して打率2割5分。ただ、ブルージェイズ傘下3Aバファローでは136試合に出場し、打率3割3分8厘、11本塁打、92打点を挙げ、インターナショナルリーグMVPにも輝いた。堅実かつパワフルな打撃の他に、守備では万能性もある。一塁、三塁の他に外野もこなせるという。一塁はゴメスがいるだけに、基本は三塁だが、チーム構成次第では外野も守れるのが魅力だ。

 チームは今季、6年間中心打者として活躍したマートンが退団。日本球界でもトップの安打製造機として活躍した前任者の穴を埋める助っ人を探していた。実績ではマートンには及ばないが、球団は野球に取り組む姿勢や、日本野球に順応しやすいであろうプレースタイルを評価しているという。

 先発の柱メッセンジャー、主砲ゴメスの残留が決まり、全力で慰留交渉を続けているストッパー呉昇桓を除けば、来季1年目となる金本阪神の骨格が見えてきた。若さと、堅実さと、パワーと、万能性と。いくつもの魅力を備えた新助っ人は改革に乗り出したチームをパワーアップさせる存在として、期待を背負う。

 ◆マット・ハグ 1985年8月20日、米国ワシントン州ベルビュー生まれ。ケンウッド高、ワシントン大、オクラホマ州立大を経て、08年ドラフト9巡目でパイレーツと契約。12年4月7日フィリーズ戦でメジャーデビュー。12、14年はパイレーツ、15年はブルージェイズでメジャー出場。メジャー通算成績は43試合で打率2割2分6厘、0本塁打、7打点。マイナー通算は937試合で打率3割1厘、79本塁打、534打点、24盗塁。191センチ、102キロ。右投げ右打ち。