西武秋山翔吾外野手(27)が「数字」で大幅昇給を勝ち取った。11月30日、西武プリンスドームで契約更改交渉を行い、8800万円増の1億5000万円でサインした。今季はシーズン最多安打記録を更新する216安打を放ち、歴代3位タイの31試合連続安打をマーク。査定ポイントではほぼ倍増だったが話題料も加味されて、来季2億円が視野に入るアップ額に到達した。(金額は推定)

 カメラマンから要望のある契約更改お決まりのパフォーマンスはやんわりと断った。地に足をつけてきた秋山らしかった。球史を塗り替えた活躍に対する対価は1億5000万円。「査定のポイントでは『これ以上つけられない』と言ってもらえました」と最高評価を受け止めた。

 スランプは、ほぼなかった。「1年間、大きな波なくやれた」。3月の開幕から月間打率は3割中盤は最低でもマークした。200安打、シーズン最多安打を視野に捉えた9月は2割9分2厘とやや苦しんだが、下を向く数字ではない。「2カ月の得点圏打率と盗塁数(17盗塁、成功率5割)がもう少し、と言われましたが」。注文は微々たるものだった。

 数字以外の側面も加味された。査定ポイントから純粋に算出すれば「倍増ちょい」と1億3000万~1億4000万円だったという。だがシーズン中盤に連続試合安打、終盤に最多安打記録でメディアの注目を一身に集めた。この日も早朝6時半に球場に到着し、SMAP中居正広の年末テレビ番組の収録に臨んだ。「メディアのところも評価してもらった」。来季の2億円も視野に入る1・5億円に話題料込みで届いた。鈴木球団本部長は「(査定を担当してから)こんなに露出した選手はいなかった」と振り返る。来季の活躍次第では出来高払い、複数年契約を提示することも示唆した。

 来季も200安打を達成すれば、プロ野球史上初の2年連続での達成になる。だが現実的ではないと考える。今季は180安打が目標だっただけに「当初の目標より大きくなっている部分がある。数字は何とも…。1本1本積み重ねたい」と秘めた。唯一、誓った数字は「20盗塁」。今年も掲げた目標を再び立てた。来季、秋山が刻む数字は誰にも想像できない。【広重竜太郎】

 ◆西武の大幅昇給 秋山の8800万円増は、西武の昇給額で球団史上7位。野手では5位になる。秋山より昇給額が多かった野手は12年中村が前年に本塁打、打点の2冠。中島、松井、和田はチームが優勝したオフの契約更改だった。