【台中(台湾)16日=梶本長之】NPB選抜として台湾ウインターリーグに参加する阪神陽川尚将内野手(24)が、台湾アマ選抜戦に5番遊撃で先発出場。7回に特大本塁打を放ち、視察に訪れている掛布雅之2軍監督(60)を喜ばせた。前日夜には掛布2軍監督が連れだった上海料理店で名物小籠包を「爆食い」。3年目の来季、肉汁がほとばしるような実力開花を予感させた。

 からをぶち破り、ジュワっとパワーがあふれ出た。掛布2軍監督が足を運んだ台湾ウインターリーグで、陽川の打球は風速11・5メートル、インターコンチネンタル球場名物の強風をものともしなかった。推定135メートル。バックスクリーンに突き刺さる衝撃的なアーチだ。

 陽川 打った瞬間でした。感触は良かった。追い込まれていたんでストライクゾーンを広めにしていました。

 目の覚めるような1発は4点リードの7回1死一塁で生まれた。カウント1-2からの4球目。外角真ん中115キロのチェンジアップに反応してフルスイングした。秋季練習とキャンプで金本新監督が指導した軸回転のスイングだった。

 掛布2軍監督も「素晴らしいね。納得のホームランだったと思うよ。ゲームの中での対応力というのが出てきているのかも知れないね。(ライバル関係の巨人)岡本も度肝を抜かれたと思うよ」とご満悦。実は試合前日に、特大弾につながるパワーを授けていた。

 台湾でのスケジュールに組み込んでいた、参加選手との会食。掛布2軍監督は陽川、横田、田面を台中市の高級上海料理店「沁園春」に連れていった。絶品料理に舌鼓の若虎たち。メーンディッシュである熱々の小籠包が出されると、陽川は20個以上を平らげた。食事会の様子を思い出し、掛布2軍監督も「小籠包を食べたおかげだな! ショウ、ロン、ポウのリズムで打っていたな」と思わず笑顔。陽川も「いっぱい食べたんで覚えてないですけど、小籠包を食べたおかげですね」とパワーを実感する。

 この日は5回にも適時打を放っており、4打数2安打3打点の大活躍。打率も3割8分と絶好調だ。「今に満足せず結果にこだわりたい」。目指すは猛虎の中軸打者。自らを包み隠さずアピールを続けていく。

 ◆沁園春(チンユエンチュン) 台湾・台中にある上海料理の名店。1949年に創設され中国の政治家・蒋介石が台湾に訪れる度に通っていたと言われる。名物は小籠包。1つ約60グラム。8個入り160元(約600円)。