目指せ、21世紀版レジェンド! 阪神藤浪晋太郎投手(21)が20日、甲子園内で「甲子園歴史館トークショー」に参加し、究極の目標数値を設定した。防御率1点台、250奪三振、20勝の3大目標。この3項目を同時達成すれば、阪神では62年の小山正明、村山実以来3人目。高いハードルを自らに課し、快投連発からV奪回を成し遂げることで虎の歴史を塗り替える。

 猛虎80年の歴史を振り返っていた時のことだ。藤浪が冷え込む気温を一気に上昇させた。一塁側ブルペンの特設トークショー会場。司会者が2つの大記録を紹介した。プロ野球記録でもある68年江夏豊の401奪三振。規定投球回到達者では戦後唯一の防御率0点台となった、70年村山実の0・98。先人の偉大な数字に触発され、若き大黒柱も究極の目標を言葉にした。

 「時代が違うので、そこは割り切って。現実的なすごい数字を目指したいと思います。防御率1点台はもちろん目指せる数字ですし、奪三振数なら250とか260はすごい数字。勝ち星でいえば20勝とか…。目指したいというか、頑張ってみたいですね」

 今季は14勝7敗、防御率2・40。セ・リーグでは広島ジョンソン、巨人菅野、マイコラスが防御率1点台を記録している。右肩上がりで進化を続ける藤浪もクリアできるラインだ。本人は「まだまだです」と謙遜したが、確かな手ごたえも見え隠れした。

 「今年のいい時のパフォーマンスを安定して出せれば、もっと数字は良くなる。無駄なフォアボールをなくしたい。2死二、三塁での四球と、先頭に出す四球とでは違う。ここで出したくないという場面での四球を減らしていきたい」

 計画はすでに具体的だ。今季リーグワースト82個を与えた四球を減らせば、199だったイニング数を伸ばせる。トークショーの最中には「210、220イニングぐらい投げられたら」と来季目標を立てた。イニングが増えれば、221個で初タイトルを獲得した奪三振数も増える可能性が高くなる。「三振にこだわりはない」と前置きした上で「ボールの質を良くすれば、もっと三振を取れる」とも説明。プラス29個は現実的な数字といえる。

 最大の難関は20勝だ。勝ち負けには運の要素も入り交じる。藤浪自身、金本監督が期待する19勝に対して「簡単な数字ではない」と冷静に分析している。とはいえ、打線の援護と好投がうまくかみ合えば、決して可能性は低くない。

 防御率1点台、250奪三振、20勝を同時達成すれば、虎では62年の小山、村山以来3人目の快挙。一見高すぎるハードルも、対象者が藤浪ならば不可能には思えない。【佐井陽介】

 ▼阪神投手のシーズン防御率1点台(規定投球回以上)は、75年安仁屋宗八の1・91以後達成されていない。

 ▼同250奪三振以上は、71年江夏豊の267個が最後。

 ▼防御率1点台+250奪三振以上+20勝以上は、62年に小山正明(1・66、270個、27勝)と村山実(1・20、265個、25勝)の2人がマークしており、それ以来ない。阪神以外では、68年広島外木場義郎(1・94、260個、21勝)が記録した。