西岡よ、20盗塁や! 阪神金本知憲監督(47)が来季の巻き返しを期す西岡剛内野手(31)のレギュラー奪取の条件として「快足」を挙げた。かねて塁上での走塁に対する高い意識を評価しているが、過去盗塁王2度の機動力をフルに生かしているとは言いがたい。来季は上本、大和と二塁の定位置を争う立場。全盛期のスピードを取り戻せるかがカギになりそうだ。

 金本監督が来季復活を期す西岡に求める「条件」は実に明快だった。ズバリ、快足だ。ロッテ時代の05年に自己最多の41盗塁で初の盗塁王。06年も33盗塁して2年連続のタイトルに輝いた。称号も「スピードスター」だった。韋駄天(いだてん)ぶりが大きな武器だった。だが、いまや、いずれも過去形。指揮官は西岡に求めるものをこう語る。

 「足、戻せるんか? 最低20盗塁の(できる)足に戻れるのか? それなら使いたいし」

 阪神金本にとって敵として戦ったロッテ西岡は、機動力としたたかさを併せ持った好選手だった。塁上で常に仕掛けようとする姿勢は相手バッテリーの脅威。金本監督も「西岡と福留の走塁は天下一品や。『何かやったろう』というのが見えるもんね。ずっと(塁上で)チョロチョロチョロチョロ、なかなかできないよ、あれ」と評している。

 走塁技術こそ球界屈指だが、盗塁に結びついていないのが現状だ。今季はわずか1盗塁。故障で長期離脱を強いられたとはいえ、過去2シーズンで1盗塁は全盛期の走りっぷりからすれば異常だろう。指揮官は原因を「横着よ、すべて横着! 足が止まったら、どんどん走れなくなる。すぐ疲れるしね。本人も認めとるんやから」と指摘した。

 新体制になって、11月の秋季キャンプでは積極的な走塁盗塁練習を採り入れていた。この金本イズムは来春キャンプでも継続する方針。指揮官は「(走塁は)練習させていくけど、最後は本人がやるかどうか。こっちはある程度、サポートしてあげるけど。それでもできないなら仕方ない」と話して危機感をあおるが、西岡自身も心得ている。

 パワー重視だったメジャー時代のスタイルと決別して、今季も機動力を追求していた。自主トレでもロッテ時代のスピードを取り戻すことを目標に、瞬発力アップのバイクトレーニングなどを行っている。12月初旬にも「盗塁や次の塁に行くことが一番のプラス。できることならしたい。バッテリーに対して『何か仕掛けてくる』という意識を持たせるだけでもプラス」と話していた。往年の快足を取り戻せば、レギュラーへの視界はグッと広がる。