黄金ルーキーがいきなり「ホークス魂」を見せた。ソフトバンクのドラフト1位高橋純平投手(18=県岐阜商)が7日、福岡市の西戸崎合宿所に入寮した。工藤監督がダイエー時代に作られた博多人形を持参。王球団会長のファンだった亡き祖父の写真も部屋に飾る。旅立ちの日に、鷹のエースになる自覚を示した。

 黄金ルーキーが思わぬモノを手に、合宿所の門をくぐった。ごそごそと箱からとり出したのは、博多人形。それも工藤監督がダイエー時代に作られた逸品だ。入寮前夜にドラマがあった。「たまたま家にあった。これも何かの縁だ。自分の人形ができるように、がんばれ!」。母校野球部の太田郁夫投手コーチ(61)から激励の言葉を添えられ、プレゼントされた。

 工藤ホークスとの運命的な絆を感じさせる。3球団競合の末に指揮官が当たりくじを引き、背番号47を受け継いだ。高橋は言う。「縁を感じるな、と思った。部屋に飾ります」。指揮官の「視線」を浴びながら、初めての寮生活をスタートさせる。

 亡き祖父の思いも心に秘めた。宏一さんは高橋が2歳の時に死去。短い時間だったが、自営業の両親に代わり、よく面倒を見てくれた。「一緒にニンジンジュースを作ったり、小さい車を押してくれたことを覚えている」。祖父はV9時代のONが大好きだった。高橋は母奈穂子さんに断りを入れ、自宅リビングに飾っていた祖父の写真を福岡に持ってきた。「王会長に会わせたかった」。あの時の恩返しを胸に誓った。

 早くもホークス魂が宿っている。将来のエースになる自覚は十分だ。高校最後の夏を終えてから、計画的に体重増に取り組んできた。野球部では食育トレーナーの指導を受けてきた。その資料を再び読み返し、バランスよく食事の量を増やした。不規則にならないように、同じ時間に3食食べた。トレーニングをこなしながら、現役時代には到達しなかった80キロ台を突破。「体が重いとは思わない。強くなったのかな。筋肉に変えていく」。自分で考えながら、体作りに着手。これは指揮官が望む姿勢だ。

 明日9日から新人合同自主トレが始まる。「選手層が厚いので、全選手レベルが高いと思う。全選手を見習っていきたい」。爽やかな風貌の中に、心の強さが潜んでいる。次世代のエースが巣から羽ばたく日が今から待ち遠しい。【田口真一郎】

 ◆高橋純平(たかはし・じゅんぺい)1997年(平9)5月8日、岐阜県生まれ。県岐阜商3年センバツ1回戦の松商学園戦で、150キロを2度マーク。3年夏は左太もも肉離れの影響もあり甲子園出場を逃したが、U-18W杯代表に選ばれた。昨年ドラフト1位でソフトバンク入団。右投げ右打ち。