【ホノルル(米ハワイ州)12日(日本時間13日)=細江純平】五郎丸の言葉に後押しされた-。巨人沢村拓一投手(27)が独自のウエートトレーニング理論でレベルアップに自信を見せた。昨年末にテレビの特集でラグビー日本代表FB五郎丸歩(29)の言葉に触発された。例年以上にトレーニングの量を増やし、誰からも信頼される守護神を目指す。

 大声とともに、230キロの鉄が上下に跳ねた。ハワイ大のウエートルーム。沢村は、アメフットの選手に交じり、重さからしなるバーベルを担ぎ、スクワットを繰り返した。午前8時45分から約2時間。下半身を徹底的に鍛え上げた。「外国人には負けたくないからね。今日がハワイに来て一番やった」と晴れやかな表情だった。

 例年以上のトレーニング量だ。上半身、下半身、体幹と、1日ごとに鍛える部位を変える。同じ部位をいじめ抜いた。筋トレに時間を割くのには理由がある。昨年末、テレビで流れた五郎丸の言葉にくぎ付けになった。

 「フィジカルから逃げたら、日本人は世界で戦えない」

 胸に響いた。「まさにその通りだと思う」と共感した。「一緒にやってみたい。勉強になる。どんなことをやってるのか」と、ラグビー日本代表選手との自主トレも熱望するようになった。昨年のW杯同代表メンバーでスクワットのトップは、HO木津の245キロという。沢村も、決して引けを取らない。

 一般的に「下半身強化=ランニング」という考え方もあるが、沢村はやや違う。「もちろんランニングも大事だけど、ウエートも重要。僕の場合は人より重たいものをあげてるだけ」。五郎丸の言葉で、沢村ウエーは確信になった。

 昼食に向かう車内で、トレーニングの意味を熱く語った。「毎年、同じ事をやっても同じにしかならない。進化するためにやっている。きついけど、毎日同じ事をやっていても、筋肉は慣れてくるし、刺激がない。方法を変えてやることが大事。また明日始まると思うと、朝を迎えることが怖いよ」。言葉とは裏腹に、楽しそうに話した。守護神として、逃げられない場面で戦うため、まずはフィジカルの向上に専念する。