エース左腕の再来だ。DeNAのドラフト1位、今永昇太投手(22=駒大)が14日、初めてブルペンに入り捕手を立たせて30球の投球練習を行った。継承した背番号21を背負っていた、98年日本一当時のエース野村弘樹氏の姿がダブって見えてきた。

 力の入れ具合は5割程度ながら、大学の先輩でもあるドラフト4位戸柱のミットに伸びのある直球が吸い込まれていく。捕球音が響くと「いい回転だ」と声も飛ぶ。それだけではない。立ち姿を確認している。感覚を取り戻すためスローカーブも多めに投げる。

 年末年始も含めて、ブルペンで投げ続けてきた。「間隔を空けたくなかった。問題ありません」と、笑顔を見せた。大学4年の昨年苦しんだ左肩痛の影響はない。「これから球数を増やして肩を作っていきます。もちろん開幕ローテを目指します」と言い切った。

 見守った武居スカウトも安堵(あんど)の笑みをこぼした。「野村に似ている。クレバーで考えながら投げている。だから試合を作れる。(開幕ローテに)入れると私は思います」。山口、久保、井納の右腕3人以外は決まっていない。捕手を座らせるのはキャンプイン前を予定しているが、順調なら前倒しもある。即戦力左腕が真価を見せるのも間近だ。【矢後洋一】