中日ドラフト1位小笠原慎之介投手(18=東海大相模)は16日、春季キャンプの1軍スタートが内定した。中日はナゴヤ球場に隣接する「昇竜館」でスタッフ会議を行った。昨秋の左肘張りの影響でスロー調整を続けるドラフト1位左腕だが、谷繁監督は未知なる存在に期待して抜てき。20人を超える大所帯の投手陣の競争に、金の卵を放り込む。

 小笠原は吉報に驚いた。「自分自身は2軍スタートという評価だと思っていたので…」。球威は増してきたが、キャッチボールの距離は約40メートル。左肘の様子を見ながら練習を続けている。他の投手陣と比べても明らかに調整スピードは遅れている。不安もあるが、すぐに表情を引き締めた。

 「生き残るためには、自分の投球を出していかないといけない。今、全然投げていないので焦りもありますけど、その焦りに負けないようにしたい。(2月1日に)間に合うように投げていきたい」

 焦りは禁物だ。キャンプスタート、そして開幕1軍をしっかりと見据えた。この日のスタッフ会議で、メンバーが絞り込まれた。1軍キャンプには22~23人の投手が参加する予定で、2軍との入れ替えも活発に行う。注目のドラフト1位左腕も例外なく、その競争に入っていく。「支えてくれた人に感謝し、評価していただいたから恩返しできるようにしたい。ようやくスタートに立てた」と、サバイバルの中に身を置くことに胸を躍らせた。

 谷繁監督だけではなく、他の首脳陣も逸材の投球を心待ちにしている。森ヘッドコーチは「力があるからドラフト1位。見てみたいというのがある」。友利投手コーチは「いいドラフトをしてくれたと思う。見てないものを見ていこうということ」と話した。3年連続Bクラスに沈んだチームを引き上げる戦力となるのか見極められる。

 谷繁監督は「キャッチャーミットは用意しているよ。150キロを受けるのは無理かもしれないけど、130~140キロなら全然受けられる」と笑った。自らの左手で、最速151キロを誇る昨夏甲子園を制した左腕の球を受け、確認するつもりでいる。小笠原も「自分の良さを知ってもらいたい。自分らしい投球をしたい」。絶好のアピールの場を楽しみに待つ。【宮崎えり子】

 ▼中日の高卒新人で1軍キャンプスタートした投手は93年1位の平田洋(豊田大谷)以来、22年ぶりとなる。平田以降は26人の高卒新人投手(育成をのぞく)がいたが、「1軍で始動」は狭き門だった。