覚せい剤所持容疑で逮捕された元プロ野球選手清原和博容疑者(48)が最近、群馬県内で通称「シャブばばあ」と呼ばれる、暴力団関係者とされる大物女密売人のルートで覚せい剤を入手していたとの証言が8日、浮上した。別組織の暴力団関係者から女を紹介されたとの情報もあり、同容疑者の裏社会への広範な人脈も疑わせる。高速道路のインター付近など目立たぬ場所で密売人と接触していたとみられ、取引相手は女の手下だった可能性もある。

 覚せい剤の入手先をめぐり、新たな黒幕の情報が出た。群馬県の裏社会に詳しい関係者によると、清原容疑者は女密売人のルートを使い、同県周辺で覚せい剤を入手していたといわれているという。

 この関係者は「その女は、群馬の裏社会の一部では、悪人の意味も込め、通称『シャブ(覚せい剤)ばばあ』と呼ばれている中高年の暴力団関係者。長年の覚せい剤密売で群馬に自宅を建てたほどの“大物”で、その家は『シャブ御殿』と呼ばれている。最近、清原容疑者がシャブばばあルートで薬物を入手しているとうわさになっていたし、女の周辺で複数回目撃情報もあるようだ」と証言した。

 これまでの警視庁の調べで、清原容疑者が少なくとも14年秋ごろから群馬県に行き、覚せい剤を密売人から直接購入していたとみられている。この関係者は、「シャブばばあ」サイドと同容疑者が定期的に接触するようになったのは「そのころではないか」という。「清原容疑者は当初、この女の『シャブ御殿』近くまで行き入手していたようだが、うわさが広まったことを警戒したのか、最近では、目立ちにくい群馬周辺の高速道路のインター付近やサービスエリアなどで、女サイドの密売人と接触し“タッチアンドゴー”方式で取引していたと聞く」。

 この関係者は、清原容疑者に「シャブばばあ」を紹介したのは、この女が通じている組織とは違う暴力団の関係者と指摘。「覚せい剤入手をめぐり、複数の暴力団関係者が動いていたことになり、清原容疑者の裏社会人脈があちこちに張り巡らされていた疑いも抱かせる」と続けた。

 捜査関係者によると、清原容疑者は最近、多いときは月数回、群馬や栃木周辺に自ら車を運転して移動。密売人の男らから「北関東ルート」で覚せい剤を購入していたとみられる。実際、逮捕前日の今月1日にも、密売人の男と清原容疑者が、それぞれ別の車で都内から移動して群馬で接触したとみられるなど、摘発を警戒してか、不規則なパターンで取引していた疑いもある。

 これまで、覚せい剤の所持と使用を認めたが、入手先は明かしていない。ただ、こうした密売人の男らが「シャブばばあ」の手下の可能性もある。また、取引場所として、群馬周辺のラブホテルを使ったとの情報もある。警視庁では、接触を繰り返していたとみられる密売人の行方を追うとともに、背後組織の解明を進めている。