山形生まれの原石がいた。日本ハム石川直也投手(19=山形中央)への期待が高まっている。191センチの長身から繰り出される直球はすでに一級品だ。高校時代は最速148キロだったが、プロ1年目の昨季に151キロまで上昇。「ポスト大谷」の呼び声も上がる。沖縄・国頭の2軍キャンプでフォーム固めにまい進しており、数年後の日本ハムを背負って立つ投手になるため技術を磨いている。

 石川直のブルペンは衝撃的だった。スラリと伸びた左足を上げて、体重をグッと軸足に乗せる。そのままスムーズに捕手方向へ左足をつくと、あとは腕を振りぬくだけ。うなるようなスピン音を響かせながら、速球がミットへと突き刺さった。「6割くらいですね。力は全然入れていません」と立ち投げにもかかわらず、伸び上がるボールを次々と投げ込んでいった。木田優夫GM補佐が「故障せず2軍で投げて、順調にいけば数年後ローテに入る。(大谷のような柱として?)そうなってくれると期待している」とほれ込む素材だ。

 191センチ、恵まれた体はかつてのエースをほうふつとさせる。「入団後、よく『ダルビッシュさんの入った頃みたい』と周りから言われました。僕はまだまだ細いんですけど」と照れるが、端正な顔立ちとモデルのような体つきに潜在能力を秘めている。山形中央時代は最速148キロだったが、1年で3キロも伸びた。田中幸雄2軍監督も「強い直球は魅力。体が大きくなればもっとスピードが上がる」と期待を寄せ、伊藤2軍総合コーチがつきっきりで指導するなど、英才教育がほどこされている。

 武器に磨きをかけている。新人だった昨年は最長3イニングと限定された中で12試合に登板。1勝1敗1セーブと経験を積んだ。しかし、8月に右肩痛を発症。「人生で初めて痛くて投げられなかった」と苦難がフォーム変更のきっかけになった。投球時の体の軸を縦から斜め回転にした。リリースポイントが体の前になり、球持ちが向上。伸びとキレが増し始めている。「去年より全てが良い。150キロ中盤を出す自信があります」と手応え十分だ。

 今季は2軍で先発ローテを守りきることが当面の目標。「先発で結果を残して、後半に少しでも1軍に行ければ」と意気込む。日本ハム担当記者も「ポスト大谷」に挙げる逸材。大化けの可能性大だ。【島根純】

 ◆石川直也(いしかわ・なおや)1996年(平8)7月11日、山形県庄内町生まれ。余目二小3年から余目スポーツ少年団で野球を始める。余目中で投手。山形中央では1年秋からベンチ入り。13年春、14年夏に甲子園出場。同年ドラフトで日本ハムから4位指名。191センチ、82キロ。右投げ右打ち。年俸520万円。