球界最速更新の予感だ。日本ハム大谷翔平投手(21)が、オープン戦初登板となった2日の巨人戦(札幌ドーム)で自己最速タイの162キロをマークした。4回2死、メジャー通算122本塁打を誇る4番ギャレットへの2球目、高めの162キロで空振りを奪った。最後は148キロの高速フォークで三振を奪うなど、5回2安打8奪三振。圧巻の内容で、今季の実戦無失点を10イニングに伸ばした。

 大谷は、スケールアップした肉体をフルに使った。4回2死、ギャレットを打席に迎えた。「昨日(1日)見ていて、いい振りをしていると思った。真っすぐを狙っている打者に、力を入れたときに押し込めるかどうか見ておきたかった」。初球160キロ、2球目は高めへ自己最速タイの162キロ。メジャー通算122本塁打の大砲のバットにかすりもせず、最後は148キロの超高速フォークで2打席連続三振に仕留めた。

 162キロは14年に2試合で記録したが、夏場の球宴とCS直前のシーズン佳境だった。まだ札幌ドームの外には雪が積もる3月とあり、衝撃は比べものにならない。「(球速が)出る出ないは別として、出したいときに出せたのがよかった」。オフは体重を90キロ台前半から100キロ近くまで増やした。筋量を増やした成果が、投球に如実に表れている。「(大きくした体を)扱うのはもっと難しいと思っていた」。予測以上に、新しい肉体がパフォーマンスに結びついている。

 ただ、大谷の手応えは球速ではなかった。「コースにきちっといっていた。去年とはそこが違う」。球速アップのため力を入れても、制球がばらつかなくなっていた。

 5回の亀井には新球種チェンジアップも試し、すべての変化球の精度が高まった。5回2安打8奪三振無失点。二塁も踏ませず、球数も68と少なかった。首脳陣から設定された「5回80球」も難なくクリアした。昨年までの「弱点」も克服してみせた。

 ロッテとの開幕戦(25日、QVCマリン)まで、残る登板は2試合の見込み。「まだまだいける感じはあります。今日出た課題を確認しながら、準備していければいいです」。昨年11月の「プレミア12」から続く連続イニング無失点は23。2016年のプロ野球は、大谷翔平を中心に回りそうだ。【本間翼】

 ◆大谷の162キロ 過去、14年に6度マークしている。7月19日の球宴第2戦(甲子園)で1回無死、阪神鳥谷への2球目(ファウル)で初めて計測。同じイニングで巨人阿部の1球目(ボール)でも投じた。レギュラーシーズンでは10月5日楽天戦(札幌ドーム)の1回、1番銀次の2球目(二ゴロ)、2番榎本の3球目(ファウル)、4球目(二安)に連続でマーク。2回、藤田の4球目(ファウル)も含め、クルーンに並ぶ公式戦最速を4度記録した。

 ▼大谷が4回、ギャレットの2球目(通算52球目)に球速162キロをマーク。162キロは自己最速タイで、クルーン(巨人)と並ぶプロ野球最速(スピードガンが普及した80年以降)。大谷は14年オールスター第2戦(甲子園)、同年10月5日楽天戦(札幌ドーム)で162キロを出しているが、オープン戦では初。これまで2試合は登板から2イニング目以内で、4イニング目に出したのは初。