ど根性男が初の開幕1軍に前進した。阪神北條史也内野手(21)が、2安打2打点とアピールだ。歯を食いしばり直球をしばいた。

 金本監督がハッパをかけた3回だ。1死一、三塁から摂津が投じた初球の外角球を見逃さなかった。「ネクストで狙い球を絞っていたので、一発で仕留めることが出来た」(北條)。左中間を破る適時二塁打を放った。7回には右腕バリオスからも左翼線へタイムリー二塁打。日本一軍団が誇る主力投手2人を攻略した。

 2番スタメンが決まったのは、試合前練習が終わってから。試合開始の直前だった。2日の甲子園練習で、打撃投手の投球が右ふくらはぎを直撃。前日3日の試合を欠場していたが、この日は球場到着後にトレーナー陣の判断を仰ぎ、フリー打撃を実施。限りあるアピールの場だけに「いけると思った」と出場を願い出た。ズボンの下の右ふくらはぎはテーピングでぐるぐる。グラウンドではそんな弱みを一切、見せなかった。

 与えられたチャンスに全力を注ぐ。北條につきまとう「ポスト鳥谷」という言葉。連続フルイニング出場を続ける先輩の壁は確かに厚い。ただ、北條はそんな言葉を遮断。「鳥谷さんとかは関係ない。自分次第です」と言い切った。続出する高校球児のようなハッスルプレー。こんな若虎が金本阪神を熱く盛り上げている。【桝井聡】