主砲の一振りが、ロッテに逆転勝利をもたらした。2点を追う6回に追いつき、なお2死二塁。デスパイネは日本ハム鍵谷のスライダーを捉えた。ぐんぐん伸びて、中堅陽の頭上を越えた。勝ち越し二塁打も「風に救われたような、やられたような」と複雑な表情だった。風がなければ入っていたか。だが、風で打球の方向が変わり、陽は捕球できなかった。いずれにせよ、3回の一時同点打に続く貴重な働きだった。

 前日の開幕戦では大谷から先制打。2日連続のお立ち台に呼ばれた。「明日はホームランが出るんじゃないでしょうか」と沸かせたが、大風呂敷には聞こえない。打球方向が変わった。昨季は調子が悪い時ほど強引に引っ張り凡退。伊東監督に「軽く振っても飛ぶんだから」と諭されても、「力の抜き方が分からないんだ」とこぼしていた。

 前日の先制打も、この日の決勝打も、中堅方向。「別に意識してない」と言うが、力みが消えてコンパクトに振れている証しでもある。3年目で初めて開幕前に来日しオープン戦から準備できているのが大きいという。「ホームランが打ちたい。そろそろ左に引っ張るよ」とちゃめっ気たっぷりに話した。【古川真弥】

 ▼開幕戦で大谷から先制適時安打を放ったデスパイネが、2試合連続の勝利打点(V打)。開幕2試合連続V打は12年に森野(中日)が広島戦でマークして以来。ロッテでは球団史上初めてだ。