ヤクルト山田哲人内野手(23)が、2年連続のトリプルスリーへ弾みをつけた。1回に左前打で出塁して今季初盗塁をマークすると、4回には先制の2号ソロ。開幕から7試合連続安打と順調にシーズンを滑り出した。チームは4連敗スタートだったが、引き分けを挟んで連勝となった。気温上昇とともに調子を上げる山田が、今年も燕打線を引っ張っていく。

 攻撃の中心に、山田がどっしり構える。0-0の4回1死走者なし。「フライかなと思ったけど、入ってくれましたね」と「本拠地1号」の2号ソロを左翼スタンドにマーク。中日先発・大野の内角高め直球を力で上回った。「足」でもスタンドを沸かせた。初回2死走者なし。左前打で出塁すると、次打者の畠山の打席で余裕のタイミングで二盗を決めた。

 今年の山田は、鉄壁のディフェンスも兼ね備える。同点に追いつかれた直後の5回2死走者なし。桂の二遊間へ抜けそうな打球をジャンピングスロー。春季キャンプから課題に挙げていた守備で、ピンチの芽をつみ取った。「守備からリズムをつくることはチームのテーマ。ああいうプレーをしていけば、打撃にもいい影響は出る」と走攻守でチームに流れをもたらした。

 真剣勝負の最中、もう1つの“敵”と闘っていた。「僕、実は極度の末端の冷え性なんです。養命酒は飲んでませんけど。この時期になると寒くて全然駄目なんです」。気象庁によれば、この日の最低気温は10・6度。試合前、「あかん。手がかじかむ」と長袖のアンダーシャツを伸ばした状態で手を隠すほど、寒さを苦手としていた。

 毎年のオープン戦の成績が物語っている。今年は17試合で打率2割3分2厘。終盤にかけて調子を上げてきたが、一時は打率1割台と低迷した。本塁打は0。昨年も打率2割2分(1本)、14年も2割1分3厘(0本)と相性の悪さを露呈した。自宅では湯船にできる限り長い時間つかり、ドーム球場であっても長袖のアンダーシャツを着用するなど体温維持のケアを怠らない。

 ベンチから引き揚げると、やはり「寒いね」と漏らした。「暑いのも嫌い」と言う23歳だが、前人未到の2年連続のトリプルスリー達成へ-。自然をも超越するだけのポテンシャルを秘めている。【栗田尚樹】

 ▼山田が1回に二盗、4回に今季2号を放った。山田が盗塁と本塁打を同時に記録したのは15年9月26日巨人戦以来10度目。4月までに記録したのは初で、10試合のチーム勝敗は8勝2敗。昨年は1試合で盗塁&本塁打を6度マークし、史上初めて両タイトルを同一年に獲得した。