阪神岩貞がセ界トップに躍り出た。今季2度目の登板で7回2/3の6安打2失点と力投。持ち味のダイナミックな腕の振りから150キロに迫る直球投げ込み、コースに決まるチェンジアップなど変化球とのコンビネーションも抜群だ。「足の速い選手が多い。変に当てられて内野安打より三振をと意識した」。4回1死一、二塁から5者連続三振を奪うなど、2試合連続の12奪三振。24Kでリーグ1位に浮上した。

 試合前に矢野バッテリー兼作戦コーチから声を掛けられた。「こんなすごい投手と投げあえるんだぞ。すごいことだろ」。広島先発は日米通算195勝の黒田。子どもの頃から活躍しているプロ野球選手と投げ合う。通算3勝の3年目左腕は「投手と対戦するわけじゃないけど、貴重な機会だと思った」と奮い立った。

 この試合で規定投球回にも到達。防御率1・23は巨人菅野(防御率1・13)に次ぐ2位タイとなった。プロでは未体験だった8回のマウンドで田中、菊池と連打されて2死二塁の場面で降板。中継ぎが打たれて白星を逃す展開に、金本監督も「勝ち星を付けてやれなかったのがね」と悔しそうに唇をかんだ。ただ、岩貞は「試合は作れたことは良かった」と自信をつけた様子。目線は早くも次回登板に向かっていた。【桝井聡】

 ▼岩貞は前回登板の2日DeNA戦から13イニング連続奪三振。昨年の阪神先発投手最長の、藤浪12イニング(5月20日巨人戦1回~同27日楽天戦3回)を上回った。なおセ・リーグ最長は、江夏豊(阪神)が68年に記録した23イニング。2リーグ分立後のプロ野球最長は、15年サファテ(ソフトバンク)の43イニング。