東大がサヨナラで明大を破った。2-2で迎えた9回2死二塁、山田大成内野手(3年=桐朋)が右中間へ適時打を放ち、今季4戦目で初勝利を飾った。東大の勝利は昨秋の法大1回戦以来で、対明大の連敗は47でストップ。今日19日に連勝すれば、02年秋の立大戦以来14年ぶりの勝ち点となる。

 山田が振り抜いた打球がきれいに右中間を割った。「行った。勝った」。手応えで確信した。勝てそうで勝てない試合が続いていた。そのフラストレーションを吐き出すように、東大ナインがベンチから飛び出した。08年秋の法大3回戦以来のサヨナラ勝ちだ。「最高です」。笑いと涙の輪に山田が加わった。

 初回に2点を先制したが6回に追い付かれた。今までならずるずるといく展開だが、救援した有坂望投手(2年=城北)が踏ん張った。東大は2年前のオフから沖縄でバッテリーキャンプを開始した。有坂は「冬のトレーニングが自分を変えました」とリーグ戦初勝利を喜んだ。来秋ドラフト候補のエース宮台康平投手(3年=湘南)を投入せず勝てた意味は大きい。

 昨春94連敗を脱出し2勝したが、勝ち点には届かなかった。浜田一志監督(51)は体力強化を念頭に、(1)食事(2)ランニング(3)筋トレ(4)守備(5)打撃と優先順位をつけた。「下手だからたくさん練習しないと。そのためにはエネルギーがいる」と、1日5000キロカロリー摂取、米を1日1升食べることを目標とした。栄養面と節約を考え冬場の1日練習では豚汁を自炊。約10万円をかけて炊飯器10台や大鍋を購入した。殊勲の山田は5キロ増の75キロになり「最初は吐きながら食べるぐらいつらかったけど、力がついた気がする」と笑った。

 守り勝った。今季4試合目で初得点となったが、失策はゼロ。指揮官は8割を守備練習に割き、守備に定評のある国学院大へ山田を“短期留学”させて学ばせた。連勝を狙い今日はエース宮台を投入する予定。「勝ち点を目指して頑張ります」。14年ぶりの勝ち点へ浜田監督の言葉が現実味を帯びてきた。【和田美保】

 ◆東大の相手別勝利 これまで明大には47連敗中で近年最も勝てない相手だった。04年秋の開幕戦で松家卓弘投手(元日本ハム)が2安打完封して以来の勝利となった。他校の最終勝利は、法大が昨秋、早大が10年秋、慶大が08年秋、立大には07年秋にそれぞれ1勝している。