リーグ史上初めての双子対決が実現した。兄の宮城教育大・米(よね)恭汰内野手(4年=泉松陵)と、弟の東北学院大・将吾投手(4年=仙台商)がそろって先発した。3打席の真剣勝負は左前打、三ゴロ、四球。兄恭汰は秋に教育実習を控え、今春で引退するため、大学では最初で最後の対戦となった。試合は東北学院大が5-4と逆転して連勝、勝ち点2とした。

 野球の神様に米兄弟の願いが届いた。1番二塁の兄恭汰は「大学野球をやる時からやりたいと思っていた。洗礼を浴びせたかった」と、第1打席に今季初安打。左腕の弟将吾は「やれて良かったです。顔はなるべく見ないようにしましたが、1回目は合っちゃって…。笑っちゃいました」と真剣勝負を楽しんだ。

 小学2年から一緒に野球を始め、中学まで一緒にプレーした。直接対決を望んで高校は兄が泉松陵、弟は仙台商に進学。その高校時代は、3年夏の宮城大会3回戦など3度対峙(たいじ)した。将吾は大学進学時、恭汰と別リーグを考えていたが、仙台商の下原俊介監督(45)に「兄弟対戦って面白いんじゃないか」と言われ、宮城教育大と同じ仙台6大学の東北学院大を選んだという。

 身長は兄168センチ、弟167センチで、体重は同じ68キロと体形も似る。寮生活を送る恭汰は1年秋から出場し「早く出てこいよ」と、自宅から通学する弟を励まし続けた。将吾は「対戦するためにも頑張ろうと思いました」と、3年秋にようやくマウンドに立った。この日がリーグ初先発だった。

 1点リードの5回2死一、三塁から3点本塁打を浴びて降板。弟の初勝利はお預けとなった。兄は「ホームランを打たれたのが残念」と思いやり、仲の良さを見せた。恭汰が小学校の教師を目指すため、今春で野球に区切りをつける。将吾は「戦うのは最後と分かっていた」。2人にとってのラストシーズン。夢がかなった。【久野朗】