4番の一打で首位を奪い返した。巨人ギャレット・ジョーンズ外野手(34)が、同点の8回2死一塁から勝ち越し二塁打を放った。昨季は3試合で23イニング無得点だった難敵ジョンソンに対し、4回に村田の適時打などで2点を奪取。27イニング目で初得点を刻むと、最後はパイレーツ時代にチームメートだった主砲が黒星をつけた。

 力と力の勝負を制した。同点の8回2死一塁、ギャレットは外寄りの速球にバットをぶつけた。スピードガンが誤作動を起こし、テレビ画面に打球スピード「154キロ」が表示されるほど、破壊力抜群の低空ライナーが右中間を破った。天敵左腕を沈める一打だった。「結果的に打てて良かったよ」。4番の仕事に、少しだけ表情を崩した。

 2回無死、初球の速球を見逃すと、20代中盤の記憶がよみがえった。ジョンソンとは13年にパイレーツでチームメートだったが、09年にマイナーで対戦した。「カット、ツーシームが良く、頭がいい投手」というデータをもとに、「ファーストストライクをしっかり打つ」と意識。6回はツーシームに詰まりながら、力で中前に、8回は速球系を右中間にはじき返した。

 表示よりも、体感速度が速いとされるジョンソンだが、メジャー通算122発の助っ人砲にとって、スピード勝負は得意だった。3月の日本ハムとのオープン戦。大谷との対戦に、胸を高鳴らせた。「オレは、チャプマン(ヤンキース)の速球を打ち返したことがある」。マーリンズ時代に160キロを超える屈指の剛腕から放ったフェンス直撃の一打を例に「力勝負は歓迎だよ」と自信を示した。

 もがき、苦しみながら、本来の自分を模索した。打率は2割台前半に落ち、本塁打のペースも下降。それでも、開幕から変わらぬ信頼で4番起用を続ける高橋監督の期待が心に染みた。「不調でも、(苦手の)左投手でも、4番で使ってくれた。一刻も早く、調子を取り戻したかったし、勇気づけ、奮い立たせてくれた」と早出特打でバットを振り込み、結果で応えた。

 難攻不落だった左腕に黒星を付け、首位を奪い返した。高橋監督は「ここという時に4番が打ってくれた。本人がいい結果を出そうと努力し、成果が最後に出た」と評価した。連敗も3で止め、6連戦の初戦を白星スタート。ゴールデンウイークを「Gウイーク」に変える。【久保賢吾】