阪神ドラフト6位の板山がプロ初のクリーンアップ起用に応えた。前日左太もも裏を痛めた福留に代わり、5番右翼で出場。2回の第1打席で小熊の140キロをとらえ、弾丸ライナーの中越え二塁打を放った。「思い切って打っていこうと。打順は気にせず、できることをやろうと思いました」。22歳の初々しい笑みがはじけた。

 実は阪神新人の中軸は97年の今岡誠以来、19年ぶりだった。「えっ、そうなんですか?」。この日がまだ5度目のスタメン。打点王ゴメスの後を打つだけでも、身震いするような重責だ。さらに期待も後に首位打者&打点王に輝く今岡級と知って、またびっくりだ。

 もちろん抜てきした金本監督はしてやったりだ。「今年はいかないとね。孝介がいないのもあったし、経験させていくシーズンでもある。ルーキーをスタメンで使うのは勇気がいるけど、勇気ついでに(5番で)ね。そしたらいきなり打ってくれて」。前日のプロ初猛打賞で直感があったのか。出場4戦連続安打で、初回には平田の大飛球を好捕するなど守備でも魅せた。

 「1日1日が必死です。長く続くとは思わないし、謙虚に1球1球食らいついていきたい。(同期の高山と)お互い競い合って高めていければ」。掛布2軍監督が、プロテニス選手の「ジョコビッチそっくり」と命名した男前。人気も実力も急上昇だ。【松井清員】

 ▼板山がプロ初の5番でスタメン出場。阪神の新人野手がクリーンアップで先発したのは、97年に今岡誠(東洋大)が1試合あり、、同年8月27日広島戦(甲子園)で3番に入って以来19年ぶり。5番に限ると、80年岡田彰布(早大)19試合以来(ほかに3番1試合)。