奪三振率を争うライバルとの雪辱戦に勝った。ドラフト1位のDeNA今永昇太投手(22)が、阪神岩貞と2度目の先発対決に臨み、6回1失点で2勝目を挙げた。4月29日の甲子園では、14三振を奪いながらも敗れており、ホームで借りを返した。98年以来となるチームの先発左腕5連勝にも貢献した。

 今永がガッツポーズで叫んだ。6回1死一、三塁で新井の中堅に抜けようかという一撃をグラブに当て、二塁石川の併殺プレーを呼んだ。「最近は相手から見る自分も意識します。強いものも発信しようと考えてます」と、ポーカーフェースと使い分けてみせた。

 調子は悪かった。立ち上がりから直球をファウルされた。それでも強気に攻めた。「前に飛んでいるわけではない。前回の反省がありました」。甲子園では、かわすために選択したチェンジアップを陽川にバックスクリーンへ逆転2ランされて敗れた。だから生命線の直球を信じた。

 直球の威力は、打席に立った敵も証言する。奪三振数トップで、4月22日に投げ合った巨人菅野は「説明は難しいんですが、ボールが『ゴーッ』と音を立てて大きくなってくるようなイメージ。三振を取れるのが分かった」と認める。坂本も「理由は分かりませんけど、最初見たときに当たらへんと思いました。こんなふうに速いと感じたのは久しぶり」と言う。

 初勝利から連勝。それでも今永は「相手も対策が分かって、これから苦しくなると思う。だから僕も打者の反応を見て考えていきたい」と慢心はない。ラミレス監督が「10年目のベテランのようだ」というルーキーが、新人王争いも熱くする。【矢後洋一】