腕ぐ~るぐる! 今日31日に「日本生命セ・パ交流戦」が開幕。広島緒方孝市監督(47)が打倒パのキーマンに河田雄祐外野守備走塁コーチ(48)をサプライズ指名した。昨季まで西武で13年間コーチを務めたパ・リーグを知る男だ。敵のデータはインプット済み。いきなり強風のQVCマリンでの試合とあり、腕をまくった。

 サプライズ指名に、広島河田コーチは頭をかいた。すれ違った緒方監督には「ダメだって変なこと言っちゃ~」と突っ込んだ。数分前、交流戦を前にした緒方監督が「河田コーチの経験、知識もしっかり生かしながらやりたい」と“キーマン”に指名。注目の人となった河田コーチは、恥ずかしがりながらも、はっきり言った。

 河田コーチ 一応、長く西武でやらせてもらって、頭には残っている。そういう意味では、今までのセ・リーグよりもやりやすいかもしれないな。

 西武在籍13年。三塁コーチも務めた。パ・リーグの外野陣のことは熟知している。各選手の長所、短所はもちろん、球場の特徴、打球の見え方に至るまで…。スコアラーの情報と、河田コーチの経験が合わされば鬼に金棒。昨季は勝率5割も、例年苦手としている交流戦を制す上で重要な存在となる。

 その右腕はビッグレッドマシンガンを陰で支える。三塁コーチとしての的確なジャッジは攻撃にリズムを呼ぶ。試合状況の認識が緒方監督と一致。ギリギリのセーフは雰囲気を良くし、攻撃のリズムを作り出す。得点の流れを呼ぶ的確な信号機が、交流戦で狂うこともない。「知っていることは何より俺自身にとって大きい」と河田コーチも自負する。

 今日31日からは強風のQVCマリンでロッテ戦。早速訪れそうな見せ場に「いきなりだな」とめがねの奥で不敵な笑みを浮かべた。「野球を変えるつもりはない」とは緒方監督。開幕から続ける高いレベルの守備、走塁をパ・リーグにも見せつけるだけだ。首位で迎える交流戦。1つでも多く白星を重ねたい。河田コーチの右腕が、赤いうねりを生み出す。【池本泰尚】

 ◆河田雄祐(かわだ・ゆうすけ)1967年(昭42)12月22日、東京都生まれ。帝京から85年ドラフト3位で広島に入団。95年オフに西武へ移籍し02年引退。通算574試合、137安打、53盗塁。引退後は西武で2軍打撃コーチ補佐、1軍外野守備走塁コーチなどを歴任。カード前にはスコアラー室にこもり、敵投手の傾向分析に励む。右投げ左打ち。