「おりゃー」と心の中で叫びながら投げた。西武高橋光成投手(19)が、投げっぷりの良さを見せつけた。圧巻だったのは7回だ。DeNA筒香を追い込むと、最後は真ん中高め147キロの直球でねじ伏せた。「すごい打者から三振を取れたのは自信になりました」。毎回の11奪三振。10代投手の毎回奪三振は06年の日本ハム・ダルビッシュ以来。西武では99年の松坂以来となる快投だった。

 自分の投球に「おりゃー投法」と名付ける。「僕はコーナーを狙うタイプではない。思い切り腕を振って、多少ばらついても、それで抑えていくタイプ」と言う。力まずに思い切り腕を振ることが生命線だ。この日も真っ向からDeNA打線を封じた。元ロッテ村田兆治氏以来となる10代での2試合連続完封は逃したものの、2試合連続完投勝ち。1人で投げきってみせた。

 2種類の直球が武器だ。140キロ後半の指に掛かった直球は、手元でぐいっと伸びる。かと思えば140キロ前半の直球は汚く動きながら炭谷のミットを目指す。意識して投げ分けているわけではないが「スピードが出てなくても、空振りやファウルがとれる球を投げられている」と自分でも納得の球筋だ。

 一方で、11奪三振は自己最多だったが「(菊池)雄星さんみたいに、もっと三振が取れるピッチャーになりたい」と貪欲だ。目指す先には20年、東京五輪のマウンドがある。「年齢もいい感じになる。出られたらいいなという気持ちはあります」。その頃にはダルビッシュや松坂のような日本を背負うエースに。期待を抱かせる毎回奪三振劇だった。【竹内智信】

 ▼高橋光が毎回の11三振を奪って完投勝ち。西武投手の毎回奪三振は09年4月24日涌井以来、7年ぶり。高橋光はまだ19歳3カ月。10代の毎回奪三振は06年6月6日ダルビッシュ(日本ハム)以来9人、10度目となり、西武では99年9月2日松坂に次いで2人目だ。高橋光は前回の楽天戦が完封勝ちで、この日は9回に1失点。10代で2試合連続完封ならば69年村田(ロッテ)以来となっただけに、9回の1失点は惜しかった。