愛すべき男が帰ってきた。楽天伊志嶺忠捕手(30)が15日、仙台市内で行われたイースタン・リーグ日本ハム戦で今季初のスタメンマスクをかぶった。

 飛び交う言葉に仲間からの愛がこもっていた。「具志堅!」「もずく!」「ちんすこう!」。2回1死一、三塁から中前へ先制の適時打を放つ。一塁塁上で肘当てを外していると、愛称の「シーサー」ではない沖縄関連の祝福の“ヤジ”が乱れ飛んだ。苦笑いを浮かべたが「良い感じで打てて良かった」と結果を残せたと喜んだ。

 待ちわびた先発出場だった。開幕1軍をつかむも、5月25日に右太ももの肉離れで1軍登録を抹消。12日の育成試合で「1番DH」として実戦復帰したばかり。前日14日には8回から捕手に入ったものの、久しぶりの先発。「英語で言えばミートグッバイ(肉離れ)。もう痛みはないです。実は今季1、2軍で初めての先発マスクで緊張しました」と笑いを交え、ドキドキだったと振り返った。

 先輩も復帰を喜んだ。2軍調整中の松井稼も観戦。試合中に「キャッチャー!」と声を張り上げ、ハッパをかけた。自主トレをともに行う“師匠”からの声援に「ベンチと違う方向から声がして見てると思った」と発奮。2回2死一塁では日本ハム平沼の二盗を見事な送球で防いだ。「良い送球ができました」と肩も仕上がっている様子だ。

 攻守で存在感を見せ、「1日でも早く上がりたい。まずは下で結果を出して、いつ声がかかってもいいように準備する」と意気込む。守り神「シーサー」が戦闘態勢だ。【島根純】