日本ハム大谷翔平投手(21)が、中日戦に「5番投手」で先発し、8回無失点の今季最多12奪三振で6勝目を挙げた。最速は161キロ。打者としては、6回にレアードの左翼線二塁打で、一塁から好走塁で先制得点。8回には押し出し四球を選び1安打1打点1得点で自らを助けた。右足すねに自打球が当たるアクシデントもあったが、走攻“投”の3拍子でファンを魅了し、負ければ自力V消滅を阻止した。

 突破口を、大谷は自らの「足」でこじ開けた。四球で出塁した6回。レアードの左翼線への打球で、一塁から一気に本塁まで生還した。「走塁は一番難しい。昔から僕なりに頑張ってやってきているところ」。マウンドの自分を助ける、大きな先制点になった。

 ユニホームに隠された右足には、強くテープが巻かれていた。4回の第2打席、内角のスライダーを強振し、右足すねへ自打球を受けた。「当たる瞬間に(足を)引いた」。衝撃を和らげる“神業”を繰り出したというが、レガーズのついていない向こうずねを直撃し、転倒。1度ベンチに下がりアイシングをして、テーピングで圧迫。グラウンドに立ち続けていた。

 右投手にとっての軸足。「踏ん張りがきかなかったし、球も抜けていた」。投球に影響はあった。だが、途中交代だけは絶対にしたくなかった。1年目には、今より大きい自打球用レガーズを装着していたが、大きさに比例して打撃や走塁には邪魔になった。

 栗山監督は「(負傷すると)みんなに迷惑がかかる。もっとデカイのをつけろ」と言い続けてきたが、打者でも妥協をしたくない大谷は、忠告を聞いてこなかった。負傷を理由に、失点や降板は意地でもしたくなかった。

 変化球を多めに今季最多12奪三振。投げて、打って、走って、今季の交流戦最後の出場を締めくくった。次回登板から同一リーグとの対戦に戻る。DHを解除する“リアル二刀流”の可能性も残しながら、首位ソフトバンクとの直接対決も控える。「そこを勝たないと縮まっていかない」。走攻“投”の3拍子でチームを引っ張る。【本間翼】