巨人のエースが表情を失った。菅野智之投手(26)は3回1死満塁、桑原に初球の146キロ直球を左翼席へ運ばれた。初の満塁被弾。2回1/3で9失点。無表情で放心状態のまま、交代を告げられた。プロ入り後ワーストタイの11安打を浴び、ワーストの9失点。初の3連敗で4敗目を喫し「(桑原には)1、2打席も打たれていて、むきになってしまった。(調子が)悪い中での投球ができなかった」と唇をかんだ。

 いつもの菅野ではなかった。この試合前まで防御率0・88。打線の援護を待ちながら相手を制圧する投球を続けてきた疲労が、心身ともに蓄積していた。最速は148キロ止まり。150キロ超の速球が影を潜め、ボールがばらついた。高橋監督は「いつもと違うところがあったのではないか。(1年に)1回、2回はこういう時もあるんじゃないですか」と思いやった。だが、菅野は「疲れのある中でも結果を出さないといけない中で、こういう結果になって申し訳ない」と敗戦を背負い込んだ。

 チームとしてミスも出た。5回には2死からの2連続失策で失点。高橋監督は「反省しないといけない。防げるものは防がないと(勝つ)チャンスも増えてこない」と現実を直視した。

 首位広島追い上げに加速度をつける一戦のはずが、今季ワーストの12失点で7ゲーム差に開いた。菅野は「長い野球人生でこういうこともあると思う。しっかり糧にできるよう現実を受け止めていく。チームに迷惑をかけたので次は勝てる投球をしたい」と前向きな言葉で結んだ。取り返すチャンスは残っている。【浜本卓也】

 ▼菅野が桑原に満塁弾を浴び9失点で3連敗。菅野の1試合9失点は14年7月25日中日戦の8失点を抜くワースト。被本塁打は通算37本目だが、満塁弾を打たれたのはプロ入り初めて。今季8打数0安打と抑えていた満塁の場面で、この日は1発を含む3安打を許し、9点のうち8点を満塁で取られた。これまで菅野は自身2連敗で迎えた試合は6戦6勝で、3連敗もプロ入り初めてとなった。