虎の後半戦初白星が遠い…。広島戦で敗れ、球宴明けから4連敗。広島相手には球団ワースト2位(過去3度)となる8連敗を9年ぶりに喫してしまった。敵地マツダスタジアムでの4連敗は球団ワーストタイ。金本知憲監督(48)は、守備面で痛いミスを犯した鳥谷敬内野手(35)に苦言。借金は今季最多の14に膨らみ、首位広島とは17・5ゲーム差まで開いた。

 カープ自慢の快足を防ぎきれない。敵地で思うがままにグラウンドを走り回られた。ルナが2度、鈴木と丸もスチール。4盗塁を許し、3度が失点につながった。守り負けだった。その象徴は5回だ。1死後、ルナがスタートを切る。梅野が二塁に送球。アウトのタイミングだ。巨体揺らして助っ人が走り込んでくる直前、鳥谷がグラブの土手に当てる形で球を捕れずに後逸…。2点差に迫っただけに痛い失点につながった。

 古巣にリベンジするはずが完敗。07年以来の広島戦8連敗を喫した金本監督は苦言を呈する。「2つアウトや。なぜあれをスルーするのか。以前もスルーがあったけど気の緩みなのか、目とかの影響があるのか、分からんけど、そこからの2点は痛いわね。普通はスルーしない。アウトのタイミングだっただけに」。失策こそつかなかったが、名手の捕球ミスを敗因に挙げた。2回にも1死一塁で二盗を試みた鈴木と交錯するような格好になり、球をそらしてしまった。ベース上に送球できない梅野に失策がつく際どいプレーだったがアウトにできなかった。

 5月13日DeNA戦(横浜)でも二盗のベースカバーで落球したが、チームの窮地で痛恨のミスが出た。指揮官がキャプテンの発奮を求めるのは理由がある。20日巨人戦(甲子園)で西岡が左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負い、今季絶望になった。頼みの主力が傷を負い、満足に戦えない状況だ。この日も敗れて後半戦は白星なしの4連敗。借金は今季最多の14に膨れた。シーズンの瀬戸際だからこそ、金本監督は話す。

 「これだけケガ人が出てきて主力が減ってきているんだから。やらないといけないし、打たないといけない。ノーバウンドをスルーしているようではダメ。特に若い選手が多いんだから」

 この日、鳥谷は後半戦初安打となる5月以来の適時打など2安打を刻んだ。打撃はトンネルを抜けた。チームリーダーが攻守で踏ん張らなければ、泥沼から抜け出せない。【酒井俊作】

 ▼阪神は広島戦で、5月22日(甲子園)から8連敗。07年に喫した8連敗(4月28日~5月17日)以来、9年ぶりのワースト2位タイとなった。なお最長は88年に記録した10連敗。

 ▼マツダスタジアムでは6月24日から4連敗。09年に同球場が開場して以降、12年(1分け挟む)、14年に続き、3度目でワーストタイとなった。